名古屋駅の名古屋マリオットアソシアホテルで28日から、スイートルームなどを使って瀬戸焼の陶芸作家24人の作品を展示販売するイベントが開かれる。

 このホテルでは、宿泊以外で客室を使うのは21年の歴史の中でも初の試みで、「特別な3日間」として地元の魅力を発信する。

 展示販売するのは、瀬戸焼の人気陶芸作家や協会所属の作家など24人の約370の作品で、スイートルーム2部屋と通常の客室5部屋を使って行われる。

 去年10月に名古屋のテレビ塔内に店を移転したフレンチの名店「グリシーヌ」でも使われる柳本美帆さんの作品は、ターコイズカラーやバラの花びらのようなデザインが特長。

 お皿やカップ、箸置きなどが並ぶ。

 安藤夕紀子さんは特徴のある白をベースにした、薄く軽い繊細さが作風だ。

 一輪挿しなどは、お皿やカップとはまた異なった透明感のある白が際立つ。

 どの作品にも花が描かれているのは、森本静花さんの作品。

 華やかだったり、可憐だったり、凛としていたり…と受ける印象は幅が広く、様々なシーンで使いたくなる。

 樽田裕史さんの作品は、器に心地よいカーブが入り、花のようにも見える。曲線からこぼれるような水色がかった光が美しい。

 今年2月にオンラインで開催された「テーブルウェア・フェスティバル2021」の「お酒を愉しむ器コンテスト」で最優秀賞を受賞した酒器も購入することができる。

 グレーにオレンジ、そして深いグリーン…ポップな色のお皿は深田涼さんの作品。

 釉薬を深く研究しているという深田さんの作品の特長は「多彩な色使い」。明るい色だけでなく、レモン色やクリーム色などを使った落ち着いた作品もあり、気分に合わせて選べば食卓の楽しみが増えそうだ。

「ゴールド好き」が目を奪われるのは、寺田鉄平さんの作品だ。

 黒い器に名古屋のシンボル「金シャチ」をあしらった豆皿はインテリアにしても映え、お猪口はいつものお酒に高級感を一味添えてくれそうだ。

 1部屋に様々な作風が集まっているのは、瀬戸陶芸協会に所属する12人の作家の作品。

 作家1人1人の特長の違いを見比べながら、自分の好みにあった作品を選ぶのも楽しみのひとつだ。

 公益財団法人の瀬戸市文化振興財団が運営する「新世紀工芸館」と「瀬戸染付工芸館」の研修生3人の作品が展示されている部屋には、独創的な一輪挿しや…。

「恐竜孵化実験」と名付けられたインテリアに…。

 青が映える焼き物の伝統技法「染付」が施された器などが並ぶ。

 そして親子3人で参加するのは、水野教雄さん、このみさん、智路さんだ。

 教雄さんは父・双鶴さんより受け継いだ陶芸の技法「練り込み」を継承した2代目で、智路さんが3代目。

「練り込み」とは色の異なる粘土を練り合わせたり、交互に積み重ねたりして模様を作る技法で、どこから切っても同じ模様になる。伝統的な技法だが、展示されている智路さんの作品はポップなものばかりだ。

 このみさんは「陶磁胎七宝」の作家で、ぐい呑やペンダントなどを出品。

 智路さんの作品は展示のみで、購入することはできないが、「練り込み」の技術を実演で披露する。

 今回のイベントは、新型コロナウイルスの感染対策で、3日間いずれも10時、11時、13時、14時、16時から1時間ごとに入場できる人数は15人までに限定して行われる。

 空きがあれば予約しなくても入場はできるが、智路さんの実演鑑賞はホテルの公式サイトなどから事前の予約が必要。

 名古屋マリオットアソシアホテルの担当者は、「去年20周年のイベントが中止になり、できる地域貢献が少なかったので、このイベントで地元の人に瀬戸の魅力を知ってもらい、『身近なマリオット』になって行きたい」と話している。

【出品作家】
・2006号室
 水野教雄

 水野智路
 水野このみ

・2008号室
(瀬戸陶芸協会 所属作家)
 梅田洋
 梅村知弘
 太田公典
 加藤勝利
 加藤圭史
 加藤唐三郎
 近藤葉子
 竹内真吾
 長江重和
 波多野正典
 宮地生成
 山根宏一

・2009号室
 柳本美帆

・2010号室
 寺田鉄平
 深田涼

・2011号室
 安藤夕紀子
 森本静花

・2012号室
 樽田裕史

・2013号室
(瀬戸市新世紀工芸館・瀬戸染付工芸館 研修生)
 今井八重
 城下展代
 渡邉丘奈