コロナ禍の中、トマト農家の兄と飲食店を営む弟がタッグを組み、新しいメニュー開発を進めています。弟が作る、通常は流通しないトマトペーストで作った濃厚なイタリアンは、地元の人たちの間で人気となっています。

■魅力は甘みと酸味のバランス…愛知の伝統野菜「ハート型トマト」

 愛知県豊明市で1971年からトマトを作っている「横山農園」。この農園を営む横山請悟さんが作っているのは、可愛らしいハート型の「ファーストトマト」です。

 愛知県発祥の伝統野菜、ファーストトマトの魅力は、甘みと酸味のバランスの良さ。他のトマトには無いもっちりとした食感も特徴です。

 美味しさの秘密は「隔離ベッド栽培」と呼ばれる栽培法。地面から切り離したプランターの中でトマトを育てることで、根が吸う水の量を小まめに調節。最適な水分量を見極めることで、最高の味に仕上げています。

女性客:
「味がやっぱり、全然違う」

別の女性客:
「新鮮で美味しいです。味が濃くて」


 そのファーストトマトは、ハウスから車で10分の場所にある直売所で販売されています。

■通常流通しないトマトペーストを活用…弟が手掛けるイタリアン

 横山農園のトマトを味わえるお店が、長久手市にあるイタリアンレストラン「オステリア カンパーロ」です。白を基調とした落ち着いた店内でランチとディナーがいただけます。

 ファーストトマトを作る横山さんの弟、横山智之さんが手掛ける本格的イタリアンと、パティシエである智之さんの妻が作るバターサンドが女性客に人気です。

 シェフの智之さんは、「兄が作った新鮮なトマトが常に手に入るのはメリット」と話します。

 請悟さんは、トマトジュースを絞った後に残る実の部分を瓶詰に。智之さんは、通常は流通しないこの部分を譲り受け、ペーストとして使用。濃厚な味わいでイタリアンには最適といいます。

■デザートはチーズケーキにドライトマトを添えて…トマト尽くしのコース

 このペーストをふんだんに使ったお店自慢のメニューが、トマト尽くしの「Aコース」(2200円)です。横山農園のファーストトマトやミニトマトをふんだんに使った全9品です。

 メイン料理は、「野菜のトマトソースパスタ」。トマトのペーストにロマネスコやプチベールなど6種の野菜を合わせたソースに、平打ちのタリオリーニを絡めたこだわりの逸品です。

 デザートもトマトを使った「トマトと苺のクレームダンジュスープ仕立て」。

 ふわっとした口どけのレアチーズケーキに、トマトのソルベ、さらにドライトマトを添えています。トマトと一緒にフランボワーズが入っていて、まろやかな味です。

 智之さんが、生産者の兄とタッグを組み生み出した”トマト尽くしのイタリアン”は、まさに産地直送メニューです。

 ファーストトマトを使ったイタリアンがいただける「オステリアカンパーロ」は、愛知県長久手市にあります。