4月9日の競泳日本選手権。男子100mバタフライで見事、初のオリンピック代表に内定した、愛知県瀬戸市出身でトヨタ自動車所属の川本武史選手。
川本選手は、二人三脚で共に闘ってきたトレーナーの兄、1歳の愛娘、そして亡き祖母、支えてくれた家族に「メダル獲得」を誓います。
■専属トレーナーの兄と共に掴んだ夢の切符…オリンピック出場叶えた川本選手

念願のオリンピック出場の夢を叶えた川本武史選手(26)。
川本武史選手(試合後の会見):
「家族がいつもサポートしてくれたりとか、いろんな人に支えられてここまで来たんだなって思いでいっぱいです」

代表入りを勝ち取った川本選手の支えになったのは家族の存在。兄・雄太さん(31)は、名古屋市内の整形外科で理学療法士をしながら、川本選手の専属トレーナーも務めています。
兄・雄太さん:
「『準決勝から決勝の間は生きた心地がしなかった』と言っていました。プレッシャーがあったみたいで。本当に弟を尊敬したというか、すごいなって一言ですね」

5年前、2016年の映像には、スマートフォンでフォームを確認しながら弟にアドバイスをする雄太さんの姿がありました。もともと川本選手の水泳人生は、先に水泳を始めていた兄・雄太さんを追いかけたのが始まり。その後、雄太さんはサポート側に回り、川本選手はバタフライで日本記録保持者にまで成長。東京オリンピックの切符は、兄弟二人三脚で掴んだものでした。

「水泳の専門的な知識を元に、トレーニングを組んでくれる兄には、とても感謝している」と話す川本選手。兄は、5歳年下の弟について…。
雄太さん:
「親心じゃないですけど、よく成長したなと思って…。弟をサポートできて良かったなって本当に思いました」
■守るべき存在が奮起を促す…溺愛の愛娘

娘の恵万(えま)ちゃんを抱いて、高い声で話しかける川本選手。インスタグラムに「1日1娘」と題して、恵万ちゃんの写真や動画をこれでもかというほど投稿する「親バカ」な一面も。
川本選手:
「めちゃめちゃかわいいんですよ。帰ったら笑顔でテクテクテクって来てくれるんで、ギューってしてます」

これには兄・雄太さんも…。
雄太さん:
「溺愛ですね。愛情が前面に出るというか。娘ができてさらにアスリートとして、人として大人になったなって」
4月8日は恵万ちゃんの1歳の誕生日。その日の投稿は…。
(川本選手のインスタグラムの投稿)
「一緒に祝えなくて寂しいけど、パパ頑張るからね」

見事オリンピック出場を決めたのは、この「翌日のレース」。守るべき存在が励みになっています。
■「最後に良い報告ができてよかった」…五輪出場決定まで見届けた祖母

がんで入院していた2人の祖母・英子さん(88)は、川本選手がオリンピック出場を決めた2日後に亡くなりました。
川本選手:
「たぶん、日本選手権中は頑張って自分のことを応援してくれていたと思うんです。五輪が決まったことも母を通じて伝えてくれていたので、最後まで見届けてくれたんだなって」

雄太さん:
「僕も弟もばあちゃんにも育てられたようなものなので、すごくつらかったですね。最後に二人でいい報告ができてよかったねって、親とも弟とも話しています」
■支えてくれた家族のために…目標は夢の表彰台

川本選手にとって、精神面でも、身体面でも支えになっている「家族」の存在。照準はもちろん東京オリンピックの表彰台です。
兄の雄太さんは、弟のメダル獲得に向け、トレーナーとして準備を続けます。

川本選手:
「家族のために自分が結果を残すっていうのが、自分の力に変わっている」
自分のために、家族のために…。夢の表彰台に向け、川本選手は着々と準備を進めます。