名古屋市港区の「レゴランド・ジャパン」は、他のレジャー施設と同様、集客に苦しんでいますが、少しでも来てくれたお客さんに楽しんでもらおうと奮闘しています。

 都市や観光名所をレゴブロックで再現した「ミニランド」に、ウーバーイーツのドライバーを置いたり、人形にはフェイスガードを付けたりと“今”を感じられる仕掛けがされていました。

■密回避のため整理券発行システム導入…コロナ禍のレゴランド

「レゴランド・ジャパン」では、アトラクションや園内のオブジェなど、来園者が触れる可能性のある箇所はこまめに消毒したり、レゴブロックに抗ウイルスのコーティングをほどこしたりと感染予防を徹底しています。

 その中で、4月から混雑緩和を目的に導入された新たなシステムが「Airウェイト」です。「サブマリン・アドベンチャー」で試験的に導入されました。

 アトラクションに乗る際、タッチパネルで人数と希望時間を選択すると、整理券が発行されるシステムで、並ぶ必要がないので待ち時間での“密回避”につながります。

■道頓堀のあの看板もリアルに再現…デンマーク本社がデザインする「ミニランド」

 こうした中、コロナ禍でも来園してくれる人を少しでも楽しませようと、日々変化しているエリアが、国内の都市や観光名所をレゴブロックで再現した「ミニランド」です。

 東京駅や浅草、京都の清水寺に姫路城、それに札幌の時計台など。これらは全てデンマークの本社で作られ、運ばれてきました。外国人のスタッフが、グーグルマップのストリートビューなどを見ながら、旅行気分で街のデザインをしているといいます。外国人が手掛けているため、少しユニークな部分も…。

ミニランドの担当者:
「(建物などに書かれた)漢字が『分かるけど…ちょっと違うぞ』というのがいくつかあるんです。それがまた面白い」

 特に注目なのが、大阪。外国人にとって再現するのが難しい漢字でも、道頓堀のあの看板も正確です。

■東京駅は半年かけ補修…定期的にメンテナンスされる「ミニランド」

「ミニランド」では、各所に配置された“ミニランダー”と呼ばれるキャラクターの制作や補修を行うスタッフが、毎日オープン前に見廻りをしています。

ミニランドの担当者:
「夜の間に、猫とか鳥が入り込んで、ミニランダーを倒したりとかすることがあるので…」

 ミニランダーと同じ目線で点検すると、その世界に入っているような感じになるといいます。定期的な修繕を行っているのはキャラクターだけではありません。オープンから今年で4年。レゴブロックで作られた街並みも、段階的にリニューアルしてきました。

 使用されているレゴブロックは、プラスチックのため太陽光に弱く、徐々に淡く変色してしまいます。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。

 ピカピカの東京駅は、去年およそ半年かけてメンテナンス。また、京都の金閣寺と銀閣寺の場所には、ミニランドの住人たちを工事現場で働く作業員にみたて、改修工事を再現していました。

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■フードデリバリー中のドライバーも…「ミニランド」もコロナ禍を表現

 この「ミニランド」は、可能な限り本物の街並みに近付けています。例えば厳島神社の海は、満潮と干潮を表現。20分間隔で水位が変化する仕掛けに。

 そして季節に合わせ、植物のブロックの入れ替えも。この日は、桜の木を新緑の木に変え、四季の変化を感じさせる工夫をしていました。

 季節以外にも“今”を感じられる仕掛けがあります。街並みの中に、フードデリバリーのフードパンダとウーバーイーツのドライバーが。様々な色のマスクを着用している住民もいました。コロナ禍になり、変わった生活様式を反映させています。

 渋谷のスクランブル交差点を行き交う人を減らしたり、ライブ会場で生配信したりして、「今」を表現しています。

■地上へ降ろされた名古屋城の金シャチも…こだわるマニアックな仕掛け

 名古屋城にいる「おもてなし武将隊」の顔には、透明なパーツで作られたフェイスシールドが…。とにかく、マニアックな仕掛けにこだわっています。

同・担当者:
「何回も来て頂いているお客さん、初めて来るお客さんに、何があるのかな?と見ていただけると…。それが狙いでもあります」

 名古屋城にはもう1つ、今を感じられる仕掛けがありました。3月に16年ぶりに地上へと降ろされた名古屋城の金シャチです。現在は栄のミツコシマエヒロバスで特別展示されていますが、ミニランドでは、オアシス21に一体が置かれていました。もう一体は、この日は北海道エリアに。2週間ごとに場所を変え、ミニランド全体を巡業の形で廻っています。

■リピーターを飽きさせない工夫も…ミニランダーたちの成長物語を演出

 もう1つのリピーターを飽きさせない工夫が、ミニランダーの成長ストーリーです。

 ライブ会場で演奏をしているサメの形をしたギターを持つ「サメちゃん」と、ワニのリュックを背負ったドラマーの「ワニちゃん」は、今はステージでライブをしていますが…。

 2人は、昔は演奏者ではなく観客でした。その後、2人は成長し舞台の上へ。ミニランダーたちそれぞれの物語を作り込むことで、リアルさを演出しています。

 コロナ禍で集客がままならない中でも来場者を楽しませるため、知恵と労力を注ぐスタッフたち。レゴランドは、様々な仕掛けで来場者を楽しませています。

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