大気が不安定な状態が続き、各地で危険な雨が続いています。冠水した道路の「見えない危険」について、専門家に話を聞きました。
雨が多いこの時期、冠水した道路には、多くの「見えない危険」が潜んでいます。
水難学会の会長で長岡技術科学大学大学院の斎藤秀俊教授は、道路が冠水した場合、側溝や田畑、フタのあいたマンホール等が見えなくなってしまい、大変危険だと指摘しています。
側溝は、道路が冠水すると境がわからなくなり、歩行者が車をよけた際に転落することもあります。側溝は至る所にあるため、被害も多いということです。

田畑は道路から急傾斜で下った先に用水路があり、その奥に畑がある所が多く、道路から落ちると、急傾斜や斜面に生えている草で滑って上がれなくなります。浅くても溺れてしまうこともあります。

マンホールは河川に流れ込むことができない雨水が、下水路を逆流して勢いよく押し上げて外れることがあります。冠水するとマンホールの場所が分からなくなり、深さもあるため、落ちると自力での脱出はほぼ不可能だといいます。
こうした「見えない危険」への対応について斎藤先生は、まず大前提として「冠水していることが分かったら外に出ないこと」「避難所に行くときは冠水前に済ませること」「冠水後に危険に気付いたら、2階などに垂直避難をすること」が重要としています。

避難中に冠水に遭遇した場合は、杖や棒などで前をつついて地面を確認しながらゆっくり進んでください。リュックサックや避難袋は、抱えると緊急の浮き袋として十分な役割を果たします。衣服などを入れたポリ袋を中に入れると、より効果的だということです。

斎藤先生は、溺れてしまったときも慌てずに体を浮かせて救助を待ってほしいとしています。