テイオーの長い休日

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第3話ゲスト・市川知宏さんインタビュー

船越“2サスのテイオー”からリアルダメ出し!?
第3話ゲスト・市川知宏「演じて分かるスタッフの苦労」

船越英一郎が、“仕事のなくなった2サスの帝王”を演じているセルフパロディドラマ、東海テレビ・フジテレビ系全国ネット土ドラ『テイオーの長い休日』が「面白すぎる!」と話題を呼んでいる。

主人公は、とにかく面倒くさい性格ゆえに、仕事のオファーが来なくなっている“崖っぷちの大御所俳優”、熱護大五郎。元敏腕マネージャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)と二人三脚で、ドラマ業界への返り咲きを目指す!と思いきや、なかなか、ちっとも仕事をしてくれない。にも拘らず、関わる人間の悩みを2サスで得た経験をもとになぜか解決してしまうのが見どころだ。
第2話では、「闇の外科医・ジャック小笠原」としてなぜかドラマの台本打ち合わせに登場!「もう熱護大五郎が好きなのか、船越英一郎が好きなのか分からない!」「大御所っぷりがクセになる」と早くも船越の変身シーンを心待ちにするファンも出る中、経費削減のため台本をつまらなくしている制作陣に対し、熱護が「あなたたちはどこを向いて仕事をしているのだ!」と一喝したシーンにはSNSで、「業界の裏話がリアルすぎる」、「『エルピス』の柔らかバージョン」、「とんでもなく攻めてて面白い」などとリアルな業界ものとしても評判を呼び始めている。

リアルなテレビ業界にも一石を投じている「テイオーの長い休日」。第3話で、ドラマ志望なのにバラエティでくすぶっているディレクター役としてゲスト出演する俳優・市川知宏に話を聞くと、スタッフ側を演じたことで、新たな気付きがあったと言う。

「監督の仕事というものがいかに大変か、身に染みて実感しました」

豆原ユータ(まめはらゆーた/35)役 市川知宏インタビュー

若手俳優の登竜門、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞して以来、俳優としてテレビや映画、舞台などで演技の幅を広げ続けてきた市川。今回は、「俳優に演技指導や指示を出す側」のディレクター役を演じる。役の上とはいえ、そうした制作スタッフの側に立ってみて、市川は、その大変さに気づいたという。

「今回演じる豆原は、バラエティ番組の再現ドラマの監督をするディレクターです。演じさせて頂き気付いたのですが、監督業って本当に緻密で、大変な仕事なんですよね。監督って、現場の空気づくりに一番気を使われることが多いんですけど、そういうことを今まで知っていたようで、実は、ちゃんとは知らなかったなと。例えば、撮影の現場でカメラの回り始めに“スタート!”、カメラを止めるときに“カット!”と、監督が声をかけるんですが、このタイミングというのが、実はすごく繊細で難しい!そのことに今回、初めて気が付きました」

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劇中のシーンで、豆原が「スタート」をかける場面があるのだが、市川は、これが難しかったと言う。

「“スタート!”は、俳優からしたらお芝居を始める合図です。俳優として現場に立っているときは、その掛け声に合わせて芝居を始めれば良いのですが、いざ監督としてその場に立った時、スタッフ各部署の空気感とか、演者さんのたたずまいを見て、『いま、ほんとにスタートかけていいものか?』と見極めたうえで声をかけなくちゃいけない。これが、かなり難しかったです…。
いままでお仕事をご一緒した監督さんたちは、僕らキャスト・スタッフの空気感をすべて感じ取ったうえで、ここだ!というタイミングでGOサインを出してくださっていた。だから、芝居がやりやすかったんだと改めて気付きました。そうやって現場全体の空気も作り出すのも「演出」ということなのかと思うと、もう尊敬しかないですよね」

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そんな市川だが、今度はカットをかけるタイミングで、船越から「早い」と指摘を受けたという。

「カットも、やはり役者さんが気持ちいいタイミングでかけないといけない。舞台と違って映像の場合、カット割り(監督が決める映像の構成)次第ではセリフの途中でカットをかけなきゃいけなかったりするんです。僕が一回、船越さん演じる熱護のシーンで、豆原ディレクターとしてカットをかける場面があったんです。でも、カットをかけた後で、僕として『あ、今、ちょっと早かったな』と思ったんですよ。そしたら、船越さんも『今の豆原くんのカット、ちょっと早かったよ』と指摘してくださって…(苦笑)。あ、やっぱりそうだったんだ!と反省しました(笑)」

豆原の仕事に対するジレンマは、僕にもすごく思い当たるところがあります

「僕が演じる豆原は、クリエイターとして自分がやりたい映像作品へのこだわりを持っている人間です。でも、テレビ局の中でそれがうまく実現できず、周囲のさまざまな人と衝突したり、やりたいことと出来ている事が乖離しているジレンマに陥ったりして、結果、いまや半分以上あきらめながら、波風の立たない、当たり障りのない仕事をしているような役どころなんです。実は豆原の気持ちがものすごく理解できて……僕も20代の頃、お芝居をやっていて思うようにいかなかった時、極端な話、『自分は俳優には向いてないかも…』と悩んでしまうことがよくあったんです。台本を読んで、役をこなして、監督さんからもOKも頂いているんですけど、実際出来上がった作品をオンエアで見た時も「わ、これ、全然できてないな。作品の世界に入れていないな」とか感じてしまうことがあって…。周りの人がその世界にしっかりと立っている分、違いを直に感じてしまうんですよ。やりたいことが出来ていない自分に気付くのはメンタル的にはしんどいです。でもその悔しさがあったから、反骨精神で「だったらもっと頑張んなきゃ」と思えて…そこが成長のきっかけにはなったかな、と思っています」
そんな市川だが、今回演じた豆原に対して船越演じる熱護大五郎がかけた「熱い言葉」が、市川自身にもものすごく響いたという。

熱護の「熱いセリフ」は、俳優・市川の心も鷲掴みに!?

「豆原は、テレビ局の軋轢のなかで、ほんとに“完全にあきらめてしまう一歩手前”まで行ってしまっている状態なんです。そんな豆原を熱護さんがわざわざ呼びつけてこう言うんです。
「スタッフは自分たちの本気を引っ張り出してくれる演出家を常に求めている」
これを言われた豆原は、自分がすべきことに改めて気が付く…という展開なのですが、この言葉って、僕が俳優・市川知宏として聞いても、まさにその通りだと思ったんです。俳優としての自分の本気を引き出してくれる演出家さんってすごく貴重で、その熱量は僕自身を俳優として引っ張ってくれるものなので……。
撮影では豆原として実際に心に響いたんですが、こういう言葉を演出家にかけられる熱護は、役者の大先輩として、かっこよすぎる!と俳優・市川知宏の心も鷲掴みにされてました(笑)

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あと、船越さんの存在感がすごいです。居るだけで、その場の空気が変わって、良い“締まり方”がするんです。ピリピリする、という締まり方ではなくて、チームのみんながぎゅっと一つになる…チーム感が強くなる感じで…。本番前、「よしっ、本番いこうか!」と、船越さんがひとことサラッと言うだけで、みんなきっちりと気合が入る感じがするんです。その圧倒的存在感は、簡単に作れるものではないと思いますが、自分も船越さんくらいの年齢になったときに、そういう空気感を出せる俳優になれていたらいいなと思いました。自分の中での大きな目標です!」

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市川にとってのこのドラマのテーマは、「希望」

「『テイオーの長い休日』という作品は、熱護大五郎という一人の人間が周囲に“影響”を及ぼして、みんなが成長して、みんながいい方向に進んでいくという、「希望」がテーマだと僕は思っています。とくに、今回、僕が出演する第3話は、熱護自身も崖っぷちに立っているし、僕が演じる豆原も崖っぷち。同じ「崖っぷち」という境遇に立たされた二人なんですが、心折れた豆原と違って、熱護は希望を持って生きているんです。同じ崖っぷちでも、その時にどう立ち回るか。そのやり方で人生が変わってくるというのが、テーマじゃないかと感じています。少なくとも、豆原の人生は熱護との出会いで変わっていきますから。

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ドラマを見てくださる方にも、人生で“うまくいかないとき”というのがあるでしょうし、そういうときに『自分を勇気づけてくれる人や元気づけてくれるような人との出会い』を大事にしてほしいと思います。
また、今、悪くはない状態にある人は、周りにそういう『ちょっとうまくいけてなくて折れかけている人』がいたら、その人を引っ張ってあげる側になってみようか、という気持ちになってもらえたらいいな、と思って、この第3話を演じていました。
人生に「希望」を見出し、そこに向かって進んでいくストーリーとなっています。視聴者のみなさんにも、ぜひこの第3話を見て、それぞれの“希望”を見つけていただけたら嬉しいです」