テイオーの長い休日

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大橋彰(アキラ100%)インタビュー

船越演じる2サスのテイオー「父親」役に悩む!?
アキラ100%こと大橋彰「服は着て、真面目にお芝居しました」

船越英一郎が、自らをパロディにしたような “元・2時間ドラマの帝王、熱護大五郎”という役を演じて話題になっている土ドラ『テイオーの長い休日』(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット)。毎週土曜の放送のたびにSNSでも、熱い声援が届いている。

「毎回役になりきる場面で笑っちゃう」「ドラマ作りの現場にかかわる話だけどんな組織にも当てはまるエピソードでとても響く」など業界ドラマとしての面白さや“かつての2時間ドラマのファン”からのコメントに加え、熱護の新たな一面に賞賛の声が!

「業界で働く人達とゆかりの子どもたちの悩みをリンクさせてそのどちらも救ってみせる熱護の人間力に惹きつけられる」「熱護は基本面倒見いいよなぁ。苦手なはずの子どもにも」「ドラママニアでもファミリーでも楽しめる内容」と、悩める長女を救うため、苦手なはずの子どもにも向きあった熱護。ヒューマンドラマとしても楽しめる作品となっている。

そんな愛すべき偏屈な熱護に振り回されているのが、彼のマネージャーとなった吉田ゆかり(戸田菜穂)。
ある事情からドラマ業界を一時“追放”されていたが、3人の子供を抱えて生活していくために、熱護のマネージャーとして業界に復帰した。ゆかりがシングルマザーになったのは、愛する夫が3年前に交通事故で他界してしまったためだが、その夫・吉田康介の思い出を巡り、吉田家でひと騒動が起こる。康介役を演じるのは “全裸でお盆だけ持って登場するネタ” で知られるアキラ100%こと、大橋彰。今回は、お盆芸を封印して、俳優としてヒューマンな演技をする彼に話を聞いた。

吉田康介(よしだこうすけ/享年43)役
大橋彰(アキラ100%)インタビュー

「俳優のお仕事は、本名の大橋彰でさせていただいています」

大学卒業後、すぐに芸能事務所へ“就職”し、学生時代の同級生とお笑いコンビを組んだあと、ピン芸人として活動。おなじみの全裸&お盆芸で注目を浴び、2017年には『R-1ぐらんぷり』で優勝を果たして、その頂点を極めたアキラ100%。今回は、裸もお盆も封印して、しみじみとヒューマンな父親役を演じる。

芸人と俳優の「切り替え」は、もう超シンプルかつスムーズにやれています

「芸人・アキラ100%」としてパフォーマンスをする時と、「俳優・大橋彰」として演技をする時では、マインドセットもずいぶん違うような気がする。その “二刀流の切り替え” はどのようにしているのだろうか。
「切り替えは、とてもわかりやすくて、どうも『服を脱ぐ』ということで芸人のスイッチが入るようです。ネタをやるぞとか、人前に出ていくんだなという場面では『服を脱ぐ』。これで気持ちが入ります。
アキラ100%の名前で、服を着てロケに行かせてもらうようなお仕事もあるんですが、そういうときも、やっぱり「お盆」は持ったり、蝶ネクタイだけはしてるとか…。
“服を脱ぐ/脱がない” “お盆持つ/持たない” みたいなことで、切り替えているかと思います(笑)。
今回の役の、吉田康介さんを演じる時には、もちろん、お盆は持ちませんでした。蝶ネクタイもしていません。洋食のお店なので、撮影現場のお店の中にはお盆はあったかもしれませんが(笑)。僕がそれを手にすることはなく、一生懸命 “優しい夫であり父親” というヒューマンな役柄を演じさせていただきました」
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芸人&俳優の二刀流とはおこがましい。たまたま同時進行だったんです

芸人と俳優の二刀流で活躍されている「大橋彰さん」だが、そもそもはどちらが先だったのか。
「“二刀流”と言ってくださっていますけど、実体はそんなにカッコいいものではないんです。本家・二刀流の大谷翔平さんなどとはもう比較にならないようなことで…(笑)。
そもそもの話をすると、高校の時に演劇部に入りまして、それにすごくハマったんです。当時は第三舞台とか、夢の遊民社とか、キャラメルボックスとか、いわゆる演劇の第三世代といわれる方たちがすごく活躍している時期で。自分も、ああいう世界でご飯食べられたらいいな、といった思いが募って、学校卒業後も就職せずに養成所みたいなところに行ったり、そこで友達になった人たちと一緒に舞台やったりしてました。
一般的なお芝居だけじゃなくて、チャップリンとか、ドリフとかもすごく好きで、コメディをやりたい、という気持ちも抱えていたんです。とはいえ、その気持ちが実って、何か芽が出るようなことは何もなくて、気が付いたら30歳になっていました。30になっても、ろくな仕事もできてない。でも、このまま、好きなことを辞めるのは嫌だ。そう思って、その時点でコントをやろうと思ってお笑いへ舵を切ったんです。」

裸芸ブレークも…俳優は「やれることをやるため」

ピン芸人・アキラ100%が誕生する前に、「コンビでコントをしていた」ことは、知る人ぞ知る逸話だ。
「コンビの時代にも、“お芝居コント”みたいなことをやっていたんですね。たとえて言ってしまうと、東京03さんみたいな、設定を作って進行させるヤツ。お芝居好きが、そこでも顔を出していたんでしょうね。実は、裸芸の原点も、その設定コントのネタのひとつにあったんです。喫茶店の店員が裸で登場する設定で……ちょっとシュールな感じでしょ(笑)。

コンビからピンになった後、ネタ作りも試行錯誤で苦しんでいたんですが、あるテレビ番組のオーディションに出ることになりまして。『宴会芸ネタを持ってきてください』という趣旨のオーディションだったのですが、そこで半ば苦しまぎれで思いついたのが、その、コンビ時代の裸ネタでした。“あれを一人用に直して持っていこう” ということで。それがウケて、テレビにもどんどん呼んでもらえるようになって、ついには『R-1ぐらんぷり』で優勝させてもらって、みなさんに覚えてもらえるようになりました」
ただ、意外なことに、「俳優・大橋彰」の活動も、「裸芸のアキラ100%」の前から動いていたようだ。
「ピンになってまだ仕事も無くて、ただライブに出て、アルバイトするという生活をしていたときに、事務所に出入りしている作家さん達が、自分たちで作っているお芝居に呼んでくれたんです。『ちょっと出てくれないか』と。何本か出させていただいたんですが、その舞台を見て、今度は映画に呼んでくれる監督さんにも出会えて。自分としても、コントから俳優に戻りたい、なんて思いではなく “芸人も俳優も関係なく、とにかくやれることをやっていこう!” という気持ちで、お芝居の方もやらせてもらった、という感じです。
自分が生きて活動している証しみたいなものでしょうか。二刀流なんてカッコいいものではなくて、とにかくなんでもやらなくちゃ!という状況でこうなったことが、わかっていただけるでしょうか(笑)」

「吉田康介」の強さと優しさ、そして理想の家族像に惚れました

今回の役どころについても語ってもらった。
「すでに発表もされている通り、今回、僕が演じる吉田康介は、ゆかりさんの亡くなった夫であり、3人姉弟の父親です。実際に演じてみてつくづく思ったんですけど、康介さん、ほんとに優しい人なんですよね。
4話の中で、長男の悟くんと語り合うシーンがあって、言葉の端々に、家族への愛と、それから“強さ”があふれているんです。
人間として正しいことは何か、正しいことをするというのはどういうことか、と悟くんに語る言葉が、ほんとうに深くて……。
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たとえば、「思いやりが大事なんだ」というセリフがありましてね。思いやりを誰に対しても持つというのはほんとに難しいことだと思うんです。それだけ相手のことを考えなくちゃいけないわけですから。しかも、ただやさしいだけではダメ。子どもに対しても、いいよいいよと容認しているばかりでなく、あるときには厳しさも含めて、しっかりと接さなくてはならない。そういうところも、すごくしっかりできていたのが、この康介だと思うんですね。

僕個人も家に帰ると奥さんと子どもがいるわけですが、気持ちとしては、この康介のような、妻に愛され、子供にも慕われている、そういう男でありたいなと思います。家族からの信頼を得る、というのは大変なことで、康介のようにあんなに「やさしかったんだ」と評価されているのは、ほんとうにすごいなと思います。憧れます。

出演者の僕自身が、このドラマのファンになっています

「この『テイオーの長い休日』は、船越さんが元・2サスの帝王を演じるという設定そのものが面白過ぎるんですけど、その上に、この4話のような “家族のあり方” を映し出すホームドラマの要素まで入れてくるのが、すごいです。
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しかも、そこに事件の謎解きの要素があって、熱護が過去の役に扮するというパターンもきちんとあって、自分は家族をもっていなくて、役の上でも父親役はやったことがない熱護が、家族の問題をどう “料理” するのかというポイントも加わって。さらに、事件の裏にはティーンエイジャーの友情の問題という深いテーマも絡めてあって……
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このドラマは、“ネタの練り込み方” がハンパないと感じています。そういうわけで、僕は、次回の第4話に出演するんですけど、自分で第1話から一視聴者としてどっぷり楽しんでいます。視聴者のみなさんも、どっぷり楽しんでいただきたいと思います!!」