スーパーの新しいトレンド『グローサラント』をご存知でしょうか。最近スーパーの店内にある異変が起きています。

 まずイートインコーナーの変化を調べるために訪れたのは、去年オープンした愛知県日進市の「プライムツリー赤池」にあるイトーヨーカドー。

(前田輝アナウンサー)
「イートインコーナーがありますね。あちらの男性、お弁当を食べています」

 一見、フードコートのようですが、皆さんお弁当を食べています、いわゆる“持ち込み”ということなのでしょうか?

Q.何を食べているんですか?
男性客:
「ここのお弁当。食品売り場で買ったものです。今までこういった環境をあまり知らないので便利だと思います」

別の男性客:
「(売り場で買った)鶏ももから揚げ弁当です。週2,3は来ます。電子レンジもあるのであたためて食べられますし」

 皆さんが食べていたのは、同じスーパーの中にある総菜コーナーで売られていたもの。実は今、買ったものをすぐに食べられる「イートインスペース」があるスーパーが増えているんです。

女性客:
「家に持って帰るよりはここでサッと食べられるのは良いです」

別の女性客:
「お腹がすいたって(子供が)すぐグズるので、すぐ買って渡して機嫌をよくします」

 お客さんの評判は上々。そして、お店側は…?

店長:
「出来立ての商品を食べてもらうことで、商品をしっかりアピールしたいという思いで、イートインコーナーを設けました。味には自信を持っているので、しっかり食べていただいて、お客さんにリピートして来てもらうこと最大の目的になります」

 ちなみに、このスーパーでは店内で食べてもらうことを意識し、総菜コーナーを従来の1.5倍拡大。品数も増やし、さらに、サラダステーションも新設し、カット野菜など店内でも食べやすい商品を取り揃えているんです。

店長:
「ただ売っているだけの店だとなかなかこれから厳しいと思います。店から発信する。そういうお店がこれから生き抜いていくんじゃないかなと。もっと進化した『グローサラント』というのもありますので…」

 さらに、進化した『グローサラント』とは一体…?

 向かったのは、三重県津市に今年4月にオープンした「マルヤスメルヴィ芸濃店」。津市を中心に11店舗を展開。野菜や魚など2万点の品揃えを誇る“ご当地スーパー”です。

(前田アナウンサー)
「イスがあります。みなさん食事されていますが、イートインというよりはレストランのようです」

店長:
「本格的なレストランをスーパーの中に取り入れた『グローサラント』という形態をとっています」

『グローサラント』とは、スーパーの中にレストランが併設されている施設のこと。アメリカ発祥で、食料雑貨を表す「グロッサリー」と「レストラン」を組み合わせた造語です。

 その、一番の特徴は…。

店長:
「レストランで使っている食材は、スーパーの中で売っている食材を使って営業しています」

 メニューの多くで、スーパーに並んでいる食材を使用。例えば、おいしそうな分厚いステーキも、精肉コーナーで実際に売られているお肉。この時期人気の味噌煮込みうどんも、メインの味噌、具ともに店内で買うことができます。

 さらに、新鮮なフルーツジュースまで、青果コーナーの果物から厳選し手作りしています。美味しかったら、その食材をすぐにスーパーで買うことができるという仕組みです。

 レストランに来ていたお客さんは…。

女性客:
「(スーパーに来たら)まずは何食べようか?ゆうてね。食べて美味しい肉があったら、(店内で)主人に買っていってあげようかなと」

 また、店内の鮮魚コーナーの隣にはお寿司屋さんのような入口が…。

(前田アナウンサー)
「お寿司屋さんですか?」

板長:
「スーパーで販売している魚をお寿司で提供しています」

 これも「グローサラント」。カウンターのお寿司屋さんで出されるネタは、すぐ隣の鮮魚店に並んでいる魚を使っています。

 ここで食べてから隣で晩御飯のおかずを選ぶ人もいるそうです。

店長:
「スーパーの食材をレストランで使うことで、スーパー全体の食材のロスを減らすことができますし、ここで食べてもらうことで、お客様に当店で売っている食材の良さを知っていただくこともできると考えています。食材はこれを使っているよという案内をこれから増やしていきいと思っています」

 スーパーは「安さと品揃え」という時代から「ロスを少なくし、商品を知ってもらう時代」へ。こうした『グローサラント』のスタイルがこれから増えていくかもしれません。