参院選の投開票日、7月21日が迫る中、「若者よ、選挙に行くな」という動画が今話題になっています。いったいその真意は…?そして「選挙に行くな」と言われた若者世代に、争点となっている年金問題について聞いてきました。若者目線で「年金」を考えます。

■SNSでバズる「若者よ、選挙に行くな」動画は「届いて」いるのか

<YouTubeより>
「若い人たちへ、選挙なんて行かなくっていい!だって平和なんだから」
「教育の予算が減っている?その分、医療費に回してもらえたら、ありがたいよ」

 お笑い芸人・たかまつななさんらが「若者を選挙に行く気にさせよう」とネットに公開した動画。ツイッター上での再生回数は300万回を超えて話題になっています。

「若者よ、選挙に行くな」投票しないと若者の意見が反映されないことを逆説的に訴えるメッセージ。はたして届くのでしょうか…。

<YouTubeより>
「年金が破綻する?関係ないわ~、だって私はもらえてるもん!」

■「選挙に行くな!」の逆説動画…若者の反応は

 今回の参院選で、論戦のテーマとなっているのが、「年金問題」。

 集まってもらったのは、名古屋市立大学の地方自治のゼミで学ぶ4年生6人。まずは動画を見てもらいました。

青山巧実さん(22):
「あの動画で言っていることは、正直若い人の中でぐうの音も出ない人って一定数いるんじゃないかなと思う。あんな風に見せられたらなにくそと思って(選挙に)行くしかないです」

服部好花さん(22):
「政党の方達も、わりと高年齢の方に向けた政策を提案しているのかな」

■『年金2千万円不足問題』に大学生は不安や冷めた意見

 今回の参院選、争点の一つと言われているのが『年金2千万円不足問題』。きっかけは金融庁の審議会がまとめた報告書でした。

 年金だけでは老後に必要なお金を賄えず、退職後30年を過ごすには平均的には2千万円が足りなくなると指摘して「炎上」。野党は「100年安心」が崩れたと批判しました。

立憲民主党 長妻代表代行:
「2000万円赤字、老後自分で用意しろと言わんばかりの書面ででてきて、しかも本当に2千万円で足りるのか」

麻生太郎金融担当相:
「はなはだ不適切な表現なのではないかという感じがしました。こういった流れでは、私どもとしては受け取れない」

 この問題に、若者世代は…?

青山巧実さん(22):
「(年金不足を)埋めるためには、今から身を粉にして働いて奮闘しないといけない。自分の体も心配になってきちゃう、支えがなくなっちゃうという感覚がすごいありますね」

須田卓也さん(22):
「自分というより親の世代がもうそろそろ年金をもらう60歳近くになるので、もしかしたらこれから自分が働いて得る収入を回すというか、サポートしてあげなきゃいけないのかなと考えるときはあります」

 将来のことを心配する学生がいる一方、こんな「クール」な見方も…。

井上諒香さん(22):
「私は(年金問題に)興味がないというより、もとから中学生時代くらいから、『年金は君たちはもらえないからそういうことを考えて貯金しとくんだよ』と学校の先生にずっと言われてきたので、あーやっぱりもらえないんだなという感じ」

■若者に身近な政策が犠牲になるのでは…各党が主張する「手厚い年金」政策

 参院選での主要政党の年金に関する公約は…。

 共産・社民は少子高齢化に合わせて年金の支給額を抑えていく「マクロ経済スライド」の廃止や中止を主張。いま年金を受け取る世代の生活を重視しているといえます。

 一方、維新は現役世代が高齢者に「仕送り」する今の年金制度は限界だとして、抜本的な見直しを訴えます。

 与党の自民・公明、残る野党の立憲・国民は、年金が少ない人などに別にお金を配って、生活を補償することなどを政策に掲げます。

青山巧実さん(22):
「たしかに(現役世代の保険料を年金に充てる)「仕送り」はやめないといけないかなと思う。(今の制度は)限界だと思っています、ヤバいと思っています」

井上諒香さん(22)
「年金がどんどん手厚くなるだけで、その他の子育や教育に資金がいかないんじゃないかなと思いました」

 若者からあがったのは、「手厚い年金」を維持するために自分たちに身近な政策が犠牲になるのではとの疑問の声です。そして…。

永井夏生さん(21):
「(年金額を抑える)マクロ経済スライド廃止にしろ、低収入の方への給付にしろ、今よりお金が必要になってくるので、その財源はどこなんだろうと正直気になる」

青山巧実さん(22):
「これ(政策)いいんだろうなとちらっと思うのはあるかもしれないが、お金がないっていうイメージが先行しすぎちゃっいて、お金がない、お金がないといって消去法みたいにしていくと、全部消えちゃう」

 バブル崩壊後に生まれ育った世代にとっては、どの党の公約も財源の裏付けがなく、現実的でないように見えるよう。一票を投じる先を選ぶのが難しく感じられて、投票所から足が遠のいているのかもしれません。

■参院選投開票日は7月21日!若者が政治に望むこと

 最後に、参院選を前に政治に望むことを聞きました。

服部好花さん(22):『全ての世代が安心して暮らせる社会』
「投票率の高い高齢世代に焦点を当てた政策が目立ってるという思いがあるので、いま自分が生きてて将来に不安を抱えたまま生きていくというは大変だと思う。すべての世代が安心して暮らせる安定した社会を望みたいと思います」

原司さん(22):『掲げた公約・政策の実現』
「掲げた公約・政策をきちんと実現することだと思います。どれだけ素晴らしい具体的な公約を掲げたとしても、それが実現できなければ意味がないですし、実現してくれそうな政策を掲げているところに投票したいと僕は考えています」

井上諒香さん(22):『教育・子育ての無償化、負担軽減』
「私が望むのは教育・子育ての無償化や、負担の軽減です。年金問題があって私たちは貯蓄しないといけないなかで、私たちが産みやすい、育てやすい、子供に教育費がかかるからという理由で産むのを諦めないような社会がつくれたらいいなと思います」

 参院選の投開票日は21日。有権者の皆さんはどんな一票を投じますか?