花粉症治療は、実は夏場から秋にかけてが最適のタイミングと言われています。最近注目されているのが「舌下免疫療法」で、スギ花粉のエキスを含んだ液体の薬を毎日、舌のウラに垂らす方法になりますが、さらに新しくなって始めやすくなっています。

■花粉症治療、始めるなら今でしょ!
花粉も一段落した耳鼻科…。
女性患者(花粉症歴20年):
「花粉症の治療できました。舌下免疫療法という治療です」
“舌下免疫療法”とはスギ花粉のエキスを含んだ液体の薬を毎日、舌のウラにポトッと垂らす治療です。
1日1回、2分間口の中に含んで、“ゴックン”。毎日欠かさず3年以上続けると、スギ花粉の成分に身体が慣れて花粉に対する反応を起こさなくなる、という治療法ですが、少し気になる点も。
男性患者(花粉症歴20年以上):
「冷蔵保存なので出先に持っていけない。2日3日忘れちゃって」
8度以下の環境に置いておく必要があるため、冷蔵庫での保存が必須など不便な点がありました。ところが、その薬が新しくなったということで実際に診察を受けに行ってみることに。

■新しくなった舌下免疫治療…「シダキュア」3つのメリット
Q.どんな薬がありますか?
栄セントラル耳鼻科 服部忠夫院長:
「新しくでているのが『シダキュア』、錠剤で短時間で使える新しい薬なんです」
シダキュアの形状は丸い錠剤。去年までの薬に比べ、液体から錠剤に。見た目も変わりましたが具体的なメリットは?
メリットその1:“服用時間の短縮”
服部院長:
「使用時間が短くなった。今までは2分だったのが、1分間になったということですね」
これまでは、液体のため口の中に成分が広がってしまっていたのが、錠剤になったことで、成分が効率よく吸収され、服用時間が半分になります。
メリットその2:“持ち運びOK”
服部院長:
「今までは冷所保存で冷蔵庫の中に保存しなくてはいけなかったのが、(新薬は)錠剤ですので常温で保管が可能です」
持ち運びもOKになりました。さらに…。
メリットその3:“濃度が倍以上”
服部院長:
「濃度が濃くなりました。2倍以上の濃度になり、そういう点では非常に効果が期待できると思います」
濃度が倍以上になり効き目も期待できそうです。
以前は、2週間ごとに通院してクスリを処方してもらう必要があったのが、今年からは一度の通院で、1ヵ月分を処方してもらえるようになるなど、ぐっとハードルが下がりました。
服部院長:
「だいたい8~9割の人は症状が改善したといわれています。非常に効果あるので、やってみたらいいと思います」
血液検査をして、スギ花粉のアレルギーを持っていれば、処方が可能になるということです。たま、この花粉に対する免疫療法は、最近では花粉症以外にも効果が期待されています。

■舌下免疫治療法で新たに期待される効果
藤田医科大学 近藤康人教授:
「花粉症が果物のアレルギーになることがあります。(花粉と果物の)タンパク質が似ているために、体の免疫物質が間違って反応しちゃうんですね。(普段なら)花粉に対して反応するところを、似ているものをもっている果物に対しても反応するということです」
果物を食べると口の中がかゆくなった、そんな経験はありませんか?『口腔アレルギー症候群』と呼ばれ、ひどい場合には呼吸が苦しくなることもあるそうです。
実は花粉症の人のうち、1~2割くらいの人に見られる症状です。
リンゴやメロン、キウイなどの果物の他、トマトなどの野菜でもアレルギーを起こすことがあるのですが、花粉に対する「免疫療法」をすることで、症状の改善が期待できるといいます。
近藤教授:
「花粉が飛び終わっても、果物に対するアレルギーは残っていることが多い。早めに舌下したほうがいい。(症状が)軽いうちからやっておくといいかと思います」

■服部院長に聞く…気になるシダキュアの効果、費用は?
Q.花粉症の患者で、果物に反応する方を診察したことはありますか?
栄セントラル耳鼻科 服部院長:
「リンゴ以外にもトマトとかでもアレルギーを起こすことが知られています。トマトやリンゴのアレルギーのある人があとで検査したら花粉症だったと分かることもあります」
服部院長によると、シダキュアの効果は1年目から効果がでる人も多く、去年から始めた人の中には今年からかなり楽になったという人もいるということです。
また、シダキュアは保険適応薬で、気になる費用も薬代と診察代を合わせて約1ヵ月2,000円。
11月以降になると、また花粉が飛び、アレルギー反応が逆にひどくなることがあるということで、服部院長は11月までの受診を薦めています。
花粉症の治療を始めるなら今のようです。