かつてスマホなどが普及する前は、時間と場所を予め決めて待ち合わせをしました。名古屋・栄でそんな待ち合わせ場所といえば、地下街の『クリスタル広場』。
そのクリスタル広場が地下街の開業50年を機に様変わりしました。
■開業50周年でリニューアル…クリスタルの無い『クリスタル広場』に

街の人:
「前はもうちょっとダサい感じだったので、だいぶあか抜けたなっていう感じはあります」
別の人:
「とてもいいんじゃないですか、よくわかって見通しもいいし」
(リポート)
「かつてこの場所にあったクリスタルのモニュメントはその姿を消し、その代わり登場したのがデジタルサイネージ、液晶の掲示板です」

3年前から工事を進め、広場があるサカエチカの50周年に合わせてリニューアルした『クリスタル広場』。
50年前に開業した日と同じ、11月11日の午前11時1分に記念のセレモニーが行われました。

照明を落として少し暗くした空間には、時間に合わせて、4本の柱に設置されたデジタルサイネージの映像が流れました。
■広場の由来となった「シャトークリスタル」は当時“世界一”の規模

クリスタル広場のあるサカエチカの開業は、いまから半世紀前の1969年。

広場の名前の由来になったモニュメント「シャトークリスタル」は、2800個ものクリスタルのブロックで構成され、当時は世界一の規模といわれていました。
開業30周年を迎えた、1999年に代替わりし、今でも記憶に新しい噴水と一体になった「光彩」へ。

およそ450個のまるいクリスタルと平たいガラスで作られ、「過去から未来へ」というメッセージを込めたといいます。
■変化は「時の流れ」も一様に“寂しい”の声…クリスタルスペースは『イベントスペース』へ

11日お目見えした新たなクリスタル広場は、真ん中に鎮座していたクリスタルのモニュメントは姿を消し、42平方メートルのイベントスペースへと様変わりしました。
モニュメントがなくなったことで、広場を中心にして広がる3方向の地下街を広く見渡せるようになりました。
しかし、“クリスタルのないクリスタル広場”を、長年サカエチカで店を営む人たちはどう感じているのでしょうか。
サカエチカと共に歩んできたお茶屋さんの妙香園。店にあるお茶を焙煎する為の機械はここに店を構えた時から使い続けいている物です。
クリスタルがなくなったことについては…?

妙香園の社長:
「しょうがないよ、50年だもの。やっぱり時代の変化だね。だから私たちの年代がそれについていくってことが大切だ」
と、時の流れだと話します。
また、同じく開業当初から店を構え、初代のクリスタルを知る東鮓本店の社長は…?

東鮓本店の社長:
「そりゃ、なんかあそこ(クリスタル広場)にちょっと欲しいね。凝ったものよりは、気持ちよく歩いていただける雰囲気が作れるといいなと。(前の)クリスタル広場は無機質的なものだったから、良かったのかなと思う」
昔を知る人は、一様に寂しさを感じているようです。
■時代が変わり使命も変わる…スマホの普及で“待ち合わせ”場所から“情報発信”の場所へ
高度経済成長に伴い、地上に車が増えたことから歩行者の安全のために作られたサカエチカ。その地下街の真ん中にあったクリスタル広場は多くの人たちの待ち合わせ場所して利用されました。

しかし、今や待ち合わせは携帯やスマホの普及で、気軽にできる時代。クリスタル広場の役割も、時代に合わせて変わっているのです。

サカエチカの担当者:
「従来の考え方でいけば真ん中にモニュメントがあることで、目印になるよねというのは確かにあるのですが。一度フラットにして色んなイベントだとか、催し物に使ったらもっと喜んでいただけるんじゃないかなと」

名古屋駅周辺の再開発で押され気味の栄…。
リニューアルしたイベントスペースとしてのクリスタル広場は、情報発信という新たな使命を担うことになります。