新型コロナウイルス、3日は愛知県で新たに9人の感染が確認されました。

 そのニュースについて、視聴者の方から次の様なご意見をいただきました。

<愛知県に住む50代女性>
「新たな罹患された方の情報がありました。『尾張地方』の2人とのことですが、なぜ市町村名を公表しないのでしょうか?他府県では市町村名や立ち寄り場所なども公開していて、愛知県の少なすぎる情報に憤りを感じます」

 この女性のご意見の通り、愛知県や名古屋市は感染者が暮らす市区町村や具体的な立ち寄り先は公表していません。その対応に街でも疑問の声が上がっています。

 3日、新たに9人の感染者が確認された愛知県。

名古屋市内で確認された感染者は5人。

市はこのうち80代の女性3人は3月1日に感染が確認された80代の女性と面識があり、同じ場所にいたことがわかっていると発表。

しかし、会見では接点となった「同じ場所」がどこなのかは、明らかにしませんでした。

<名古屋市の会見の様子>
記者:
「もう少し具体的に発表していただきたいんですけど」

市の担当者:
「今日現在お答えできる内容というのが、大変恐縮です、分かりづらいかもしれませんけれども、こういう説明のところまでが精一杯ということでございます」

 これまでも感染者が多く出ている施設や具体的な立ち寄り先を公表していない名古屋市。記者がさらに問い詰めますが…。

<名古屋市の会見の様子>
記者:
「市として感染を止めたいのなら『行くな』ということを言わないといけないと思うんですけども?」

市の担当者:
「感染リスクがあるとかそういう問題ではなくて、私どもが今申し上げているのは同じ場所にいらっしゃったという、そういう状況ですので、ご理解をいただきたいと思います」

記者:
「感染を防ぎたいから皆さん一生懸命やっているんじゃないですか。誰も行動制限しなかったら意味がないですよ」

市の担当者:
「個別に1件出た内容を、お話しするのが適切かどうか…」

 実は、感染の経緯などの情報を一部しか公表しないのは、愛知県も同じ。3日に感染が確認された名古屋市以外の4人について、県は居住地を尾張地方、三河地方としか明らかにしませんでした。

 一方、ほかの自治体では、千葉県は感染者が発症後に利用していた市川市のスポーツ施設を公表。

また、大阪府もクラスター感染が発生したとみられる大阪市内のライブハウスを公表しています。自治体により情報公開の基準が大きく異なっています。

 愛知県と名古屋市の姿勢に街の人は…。

60代女性:
「公表してもらった方が安心するところはあります、正直。公表すると周りの人はやっぱり気を付けるから、(感染が)大きくなるのは防げるかもしれませんよね」

60代男性:
「プライバシーだって言ったって、それでどんどん広がっていったら何にもならないから、積極的に言って欲しいよね。それは経営者は大変かもしれないけど、もし後で分かったらもっと大変なことになるから」

別の60代男性:
「風評被害とその人の周りがどんな顔するかがかわいそうですよね。それが一番心配ですよね。知り合いがいたら、誰だ誰だって犯人探しみたいになって、『あそこはコロナの家』だとかなる方が一番嫌じゃないですかね」


 愛知県や名古屋市は、感染者が不特定多数の人が集まる場所に滞在するなどして、接触した人を特定できない場合には公表する方針ですが、特定できる場合は明らかにしないとしています。

 一方で、次の様な事例も…。

 3日に感染が確認された70代の女性は、14人が感染したスポーツジムを利用した知人の70代の女性と、2月16日に接触。

 実は、スポーツジムで感染を拡大させたハワイから帰国した60代の女性の感染が判明したのはその前日の15日。市が15日の時点で、スポーツジムの詳細を公表し注意を呼び掛けていれば今回の感染は防げていた可能性もあります。

 また、3日に愛知県内で感染が確認された9人のうち、4人は感染の経路がわかっていません。

名古屋市の担当者:
「市中感染がだんだん広がりつつある状況だと。(濃厚接触者を)かなりもう追えなくなってきているのは事実で、追っている方の人数も本当に大変な人数になっております」

愛知県内の感染者数は41人で北海道に次いで2位。

感染経路がわからない『市中感染』が現実を帯びる中、愛知県と名古屋市の情報公開の姿勢はこのままで良いのでしょうか。