日に日に感染が拡大する新型コロナウイルスですが、その対策は今後どうなっていくのでしょうか。いち早く感染者が出た、中国・北京市では人の移動が制限されるなど、すでに厳戒態勢が敷かれています。今の現地の様子を取材しました。

 年間1900万人が訪れる世界遺産・故宮をはじめ、観光スポットも軒並み閉鎖。

北京では、閑散とした様子が「新たな日常」になりつつあります。

 そんな中、最近増えているのが…。

(リポート)
「タクシーに乗りましたけれども、ビニールで完全に運転席と後部座席が仕切られています。『消毒済み』と書かれています」


 運転席と後部座席を「隔離」したタクシー。手作りのビニール製のシートがテープで隙間なく貼り付けられています。こうした対策意識は、市民レベルで広がっています。

 都心の公園では、マスクはもちろんのこと、遊具に直接触れないよう、ティッシュを挟んだり、ゴム手袋をしたりする人の姿も…。

北京の女性:
「(遊具に)ウイルスがついていたら怖いから…」

 北京では、今年1月に初めて感染者が出て以来、5日までに422人に感染が確認されています。ただ、25人の感染者が出た2月4日をピークにその増加のペースは落ちていて、およそ2200万人と、名古屋の10倍もの人口にもかかわらず、最近では新たな感染者が1人も出ない日もあります。

(リポート)
「ここは団地の入り口なんですが、消毒用の通路が設けられています」


 大きな効果を上げているとみられるのが、「首都防衛」の掛け声のもと、中国政府が徹底して進める「封じ込め」です。

 北京では、団地などの単位で人の出入りを厳しく制限。部外者の立ち入りは禁止で宅配便が検問所までしか配達されません。もし感染者が出れば、「団地ごと隔離」されます。

 また帰省先などから北京に戻った人は、自宅で14日間の待機が義務づけられ、最近では日本や韓国などから来た外国人も対象となりました。

政府による厳しい制限に、市民は…。

北京市民:
「(不便なのは)食事や買い物、それに友達に長い間会えないこと」

別の北京市民
「(封鎖は)とても必要だと思います。(ウイルスは)封鎖しないときっと広がり、もっと大きなダメージを受けると思う」


 対策の中には、今の日本と重なるものもあります。 小学校も休校が続いています。

 本来、春節明けの1月末から授業が始まるはずの学校は、すでに1カ月以上休校が続いています。

 自宅で過ごす子どもたちは…。

<パソコンからの音声>
「みなさんこんにちは。前回の授業で馬の漢詩を勉強しましたが、意義を覚えていますか?」


 小学6年生の女の子が受けているのは「ネット授業」。

パソコンから流れる音声に合わせ、文章を読み上げたり、質問の答えをノートに書いたりして、学校の授業を受けます。

小学生:
「早く収束して学校に戻って、友達と一緒に勉強したいです」


 共働き家庭が多い中国ですが、北京市では、企業に対し、従業員が子供の世話のために休みをとっても賃金を保証することを義務付けています。

 しかし、様々な「制限」によりその企業にも影響が出てきています。

 北京市では、グループでの会食が禁止されていて、多くの飲食店などが営業を停止。地元メディアによれば、営業停止を余儀なくされたカラオケ店が従業員200人に対して解雇通知を出したといいます。

 その一方で、営業の継続を要請しているのが、市民の生活に欠かせないスーパーです。

(リポート)
「店に入るところで、体温を測られました」

 客同士の濃厚接触を避けるため、店内に入る人の数が管理される中で、営業が続いています。

(リポート)
「レジの前には等間隔のラインが引かれています」

 店には、日本各地で店頭から姿を消したトイレットペーパーも大量に。

混乱を招かないよう、政府も供給不足には目を光らせているとみられ、品ぞろえや価格に目立った変化はありません。

 新型コロナ対策で、街の様子が大きく変わりつつある北京。こうした厳戒態勢が緩む気配はありません。