新型コロナウイルスに最前線に立ち向かう医療従事者。今この医療従事者への差別的な対応や偏見が問題となっています。

 中には、保育園から子供の登園自粛を求められた人も。その一方で、各地で医療従事者に感謝を伝えたり、エールを送ったりする活動も広がっています。

 愛知のブランド鶏「三河山吹うずら」に「あいち鴨」、さらにエビやパプリカなどたっぷり具が入った「パエリア」も…。有名フランス料理店「シェ松尾」や豊橋市の精肉店が協力して作った特製の弁当です。

シェ松尾 名古屋松坂屋店 片岡料理長:
「医療従事者も疲弊していると思いますので、皆さまに笑顔を届けられたらなと思います。料理人としてやれることを精一杯、僕たちはやりたいなと思いまして」


 弁当が届けられたのは、名古屋市中川区の藤田医科大学「ばんたね病院」。

 この病院で新型コロナウイルスの患者の診療にあたる医師や看護師へ「心からの感謝と応援の気持ちを込めて」などのメッセージを添えて50食が贈られました。

女性スタッフ:
「すごくおいしいです。食べた後から、もう1回みんなでがんばろうって気になれると思います。ホントにありがとうございます」

別の女性スタッフ:
「(自粛で)家と病院との往復だけですので、楽しみと言ったら食べることになるんですけれど。その中でこういった彩りのあるお弁当を、仕事中に食べられるのはすごくうれしいなと思います」

藤田医科大学ばんたね病院 堀口明彦院長:
「作ってくださる方も大変いま困っている中で、こういうのを病院に持ってきてくださるというのは本当に感謝申し上げます。本当にありがとうございます」


 新型コロナウイルスと闘う医療従事者に感謝や応援の気持ちを伝えたい。

 こうした動きがある一方で、最前線で働くがゆえに受ける偏見や差別的な対応が、全国的な問題となっています。

子供の登園自粛を求められた女性:
「(4月)10日の朝イチに保育園からメールが来まして…」


 愛知県豊明市の藤田医科大学病院に薬剤師として勤務する30代の女性。2人の子どもを預ける保育園から届いたメールに書かれていたのは、「登園自粛」の要請でした。

<メールの内容>
「藤田医科大学病院にて、新型コロナウイルスの感染者が出ました。該当の病院へ4月1日以降に出入りされた方につきましては、『登園の自粛』をお願い致します」

薬剤師の女性:
「朝イチ(午前6時すぎ)だったので、とりあえず今日の仕事はどうしようと。近くに実家があるわけでもなく、頼れる先がないので…。その日はやむを得ず(仕事を)お休みをさせていただきました」


 藤田医科大学病院では、4月1日に別の医療機関から転職してきた30代の男性医師に、9日新型コロナウイルスへの感染が判明。

 女性は、男性医師の濃厚接触者ではありませんでしたが、「感染者が出た病院に勤務」しているため、子どもたちの2週間の登園自粛を求められました。

薬剤師の女性:
「保育園内で(感染者を)出してはいけないという絶対的な気持ちもよく分かりはするので…」


 自粛の要請から3日後、保育園側から求められた濃厚接触者ではない旨の証明書類を提出し、子どもたちは登園できるようになりました。しかし…。

薬剤師の女性:
「保育園の門から中には、藤田関係者は中に入れないようになっていて。(他のお母さんたちは)そのまま入っていくので、悲しい気持ちにはちょっとだけなりますけども」


 保育園側は「子どもたちの命を守るため慎重な対応をさせていただきます」と保護者にメールで伝え、対応について理解を求めました。

 しかし病院側は、こうしたケースが相次げば、「医療崩壊につながりかねない」と危惧しています。

女性の上司の薬剤部 山田部長:
「手指消毒もしっかりとやってますし、マスクも必ずずっとつけるということ、なるべく患者さんと接するときには長時間接しないと、こういうような対策を病院からも指示されている。人がいて初めて医療が成り立つので、(病院として)人がいなくなること自体が、コロナの患者さんがいる以上に我々にとってはマイナス」


 市民一人一人に求められる正しい理解と対応。政府の専門家会議も、医療従事者への差別や偏見は医療崩壊につながるリスクもあるため、「絶対にあってはならない」と強調しています。

(リポート)
「完全に日が暮れて、一宮市の138タワーが鮮やかな青に染まりました」

 ブルーにライトアップされる一宮市の「ツインアーチ138」。医療従事者に感謝の気持ちを示そうと、4月18日からはライトアップされていて、28日からは岐阜城も青く染まっています。

 さらに24日金曜日、愛知県岡崎市の光ヶ丘女子高校では、教職員らが間隔をあけて屋外に並んで、正午になると同時に一斉に拍手。

 金曜日に行うことから、日本では「フライデーオベーション」と呼ばれるこの取り組み。医療従事者へ拍手を送り、感謝と応援の気持ちを伝えようと、イギリスなどからSNSを通じて世界中に広がっています。気持ちを行動で示す、そんな動きが東海地方でも増えてきています。

小林校長:
「実際現場で働いている方たちの思いに完全に理解して差し上げることはできないかもしれないですけど、命がけで動いてくださっている存在を忘れないように。忘れてませんよって、皆さんのことを応援してしますよ、ありがとうございますと」