「大村知事リコール運動」に河村名古屋市長が本格参戦です。28日に行われた街頭活動では、リコール運動を主導する高須院長とともに河村市長が壇上に立ち、協力を呼びかけました。

河村市長の行動に大村知事はどう反応するのか、そして河村市長の狙いはどこにあるのでしょうか?

■河村市長が大村知事のリコール運動に「本格参戦」…街頭は「密」に

 28日、名古屋市中区の大須商店街。その中心には河村市長と、高須クリニックの高須克弥院長。

あいちトリエンナーレの対応を巡り、大村知事の責任を追及する「知事のリコール」に協力するため、河村市長がはじめて街頭に立ちました。

河村名古屋市長:
「今回の『大村知事辞めてちょうリコール運動』。一番最初にまあえらいもんですよ、私利私欲が全くないの、この高須さんは」


名古屋市長が愛知県知事にいわば「辞職勧告」を突きつけるような異常事態。

それにしても、この時期にこの人だかり、かなり「密」です。

高須院長:
「なるだけソーシャルディスタンスを守って、距離を空けてください」


「ソーシャルディスタンスを守って」と呼びかけますが、知名度の高い2人に日曜の大須は大混雑。この状況に大村知事は…。

大村愛知県知事:
「新型コロナウイルス感染症対策を、十分踏まえてやっていただかなければならない。名古屋市さんとしてもいろいろ呼びかけておられますよね、何でしたっけ?3つのDでしたっけ?電話とかドアとか気を付けましょうとか」


■「表現の不自由展・その後」を巡り対立は泥沼に

 その街頭活動、呼びかけた内容は…。

河村名古屋市長:
「ハガキを配りますからこれに名前を書いて、私が名簿、骨折りますよと意思表示をしてちょうだい」


リコールに必要な「受任者」、つまり署名集めを行う人を募集するためはがきを県内の全世帯に配る方針で、河村市長も求めに応じてはがきを手渡していました。

市民の男性:
「僕はリコールに賛成の立場なので。ハガキを配ってるといっていたので、このハガキをもらいに来ました。コロナの対応にしてもね、僕はすごい大村さんは頑張っているなと思うんですけど、でもちょっとトリエンナーレはひどすぎる」

市民の女子高生:
「私は親の影響で、親が『高須院長がこういうこと頑張ってくれてるんだよ』って教えてもらったので。このハガキは友達とかでも知らない人が結構いると思うので、そういう人たちに見せて若い世代に私が広めていけたらいいなと思います」

河村名古屋市長(去年8月):
「どう考えても日本人の、国民の心をですね、踏みにじるものだね」


「あいちトリエンナーレ2019」の企画展、「表現の不自由展・その後」の展示内容や大村知事の対応について、厳しく批判してきた河村市長。

今年3月、名古屋市が支払うことになっていた負担金の一部、3300万を払わないことを決定。

大村愛知県知事(5月20日):
「正当な手続きを経て確定した名古屋市の負担金、この債務を何の理由もなく一方的に不払いとすることは許されない。司法の場で、公正な判断を仰ぎたい」

対する大村知事も、トリエンナーレの実行委員会の会長として、名古屋市を提訴。

さらに、対立に拍車をかけるように高須院長らによる大村知事のリコール運動に、河村市長が連携したのです。

(リポート)
「こちらがリコール運動をしているグループの事務所です。看板には河村たかし市長の写真が大きく掲げられています」

 リコール運動の事務所があるのは、名古屋市東区の古出来交差点の近く。その数百メートル先には河村市長の事務所があります。両者の一体感が印象付けられます。

■10年前は「村村コンビ」として蜜月関係も

 リコール運動といえば…。

河村名古屋市長(2010年8月):
「ぜひ、署名運動を応援したってちょーよー」


10年前の2010年、就任間もない河村市長が市議報酬800万円の実現などをめざし、市議会のリコール運動を展開。

住民投票で市議会を解散に追い込むと、出直し市議選では自ら立ち上げた地域政党・減税日本が第一党になりました。

この際、二人三脚で戦ったのが大村知事。

一時は「村々コンビ」とその蜜月ぶりが注目されましたが、その後は中京都構想や共通公約だった減税などの政策をめぐり亀裂が生じ、直近の選挙ではお互い支持を見送るまでに関係が冷え込んでいました。

■大村知事は「事実を踏まえたことを」と冷ややかな反応 市民からは「どっちもどっち」の声も

 リコール運動へ本格参戦した河村市長。29日の会見で大村知事は…。

大村愛知県知事:
「どういう政治活動をされるかはご随意にということだと思いますが、事実に踏まえたことをやっていただかなければいけないのではないか」


と、冷ややかな反応。一方、河村市長の狙いとは。

<ベテラン名古屋市議>
「名古屋城天守閣など、うまくいってない政策から目をそらすためにやっているのではと勘ぐりたくなる。市長選に向けたアピールをするためのパフォーマンスだよね」

市民からは…。

市民:
「よくよく話し合うべきじゃないの」

別の市民:
「仲良くしていただかないと、良くないと思いますよ」

また別の市民:
「どっちもどっち、河村さんも言い過ぎだし、大村さんも一生懸命コロナ対策をやってるから、そりゃ(2人は)水と油だ」

 リコールの署名集めは、8月1日から始めるとしています。