新型コロナウイルスの感染者が東海地方でも急増しています。愛知県は18日土曜日に1日で25人と過去最多に。名古屋市も19日日曜日に19人と過去最多。週末は、3県で合わせて連日20人を超えています。

岐阜県では、県立岐阜商業高校でクラスターが発生し、高校野球の代替大会への出場を辞退することを決めました。

一方、名古屋では錦三のカラオケバーを舞台に、20人以上の感染が判明するなど若い人の感染も増えています。感染対策が取られているはずの場所で広がっている原因は?

■愛知では週末に2日連続で20人超の感染者判明

 19日、名古屋市内ではプール開きし、家族連れが水遊びを楽しみました。新型コロナ対策のため今年は受付で名前や連絡先の記入するほか、3密を避けるための「対策」がとられています。

三重の「観光イカダ下り」でも、利用者の数を半分にしています。

「対策と経済の両立」が各地で進んでいますが20日、記者会見で愛知県の大村知事は…。

大村愛知県知事:
「大変厳しい状況だということは認識をいたしておりますが、引き続き状況を注視していきたい」


 愛知県内では19日も新型コロナウイルスの感染者が21人と、2日連続で20人を超える事態となっています。県が、感染対策を取る判断基準としている3つの指標のうち、新規感染者数が1週間平均で10人を超え、イエローゾーン=「注意」となりました。

大村愛知県知事:
「明らかに(緊急事態宣言が出た)4月の段階とは実態が違う。軽症・無症状の方ばかりの時に、よくいわれる経済活動を止めろ・休業しろということになりますと、経済が止まってしまいますので。そのことによる弊害が大きい」

 大村知事は7月に入ってからの感染者は、首都圏と関西圏からの由来が4割を占めていることや、重症者がいないなど緊急事態宣言の解除前とは状況が違うことを理由に、県民への外出自粛や飲食店への休業要請などの規制をとる段階ではないと表明しました。

■“カラオケバークラスター”は24人に…専門家は「気の緩み」と「換気の不十分さ」を指摘

 そんな中、不安が広がるのが「カラオケバークラスター」。7月上旬、名古屋の錦三丁目にあるカラオケバーで開かれた会食に参加していた、20代男女から次々と感染が確認。

従業員や家族らも含めて、これまでに24人の感染が確認されています。

 感染拡大はなぜ起きたのか、愛知医大の三鴨教授に聞きました。

愛知医科大学感染症科の三鴨教授:
「ひとつは、よくいわれる国民・県民の気の緩みが大きいと思います。ちょっとくらい体調が優れない、これくらい大丈夫だろうとカラオケに行かれる。お店側も十分な対策をとってみえると思いますけども、やはりカラオケバーのような所は換気が十分とはいえないと思います」

 東京では20日、168人の感染者が確認されています。夜の繁華街などで感染が広がり首都圏からの人の移動で各地の感染者増加につながっているとの声もあります。

三鴨教授:
「東京由来のウイルスが地方に持ち込まれて、それが市中にも伝搬している状況が現在の状況だと科学的には考えています。人の動きがあれば感染は広がると」


■高校クラスターの学校…義務付けられた健康チェックシートを提出しなかった教員も

 岐阜県でも19日、古田知事が記者会見し、県内で発生した“高校クラスター”について危機感を示しました。

古田岐阜県知事(19日):
「高校におけるクラスター発生は全国初ですね。私どもとしては危機感を持っております」


19日、県立岐阜商業高校で、保健体育を担当する20代と30代の男性教師に新たに感染が確認されました。

これで県立岐阜商業高校では、同じ部屋で勤務していた保健体育の担当教員4人と生徒3人の、合わせて7人の感染が確認されました。

 感染防止策を講じていたはずの学校現場での感染拡大。その対応に問題はなかったのでしょうか?岐阜県の担当者は記者会見で…。

岐阜県教委の担当者:
「土日の健康チェックについて、その辺の部分が抜け落ちるという場合がございますので、今後運用の面で改善をしていきたい」


岐阜県では、全ての県立学校で生徒や教員に毎日の体調について記載する「健康チェックカード」の提出を義務付けていました。

しかし教員の中には健康チェックシートの提出はせず出勤し、担当する部活動の指導を5分間行っていたケースもありました。カード提出の形骸化や健康状態の確認が徹底されていなかったことが指摘されています。

県立岐阜商業高校では、7月29日までの臨時休校が決まり、硬式野球部が出場する予定だった県の独自大会への出場も辞退するなど影響が広がっています。

三鴨教授:
「第1波と違って第2波は、移動が激しい若者に(感染が)多いという現実があります。一般的に感染が発覚して1週間程度すると、一部の方が重症化してくるということが分かっている。重症者が少ないという現在の状況は、決して楽観視してはいけない」