今年は新型コロナウイルスの影響で、プールや海の閉鎖が相次いでいることも影響しているのか、岐阜県では例年より多くの方が川を訪れています。

川遊びで心配なのが水難事故です。どうしたら子供たちが安全に川遊びできるのか、専門家に注意点を聞きました。

■川の死亡事故が倍増…岐阜県では今年に入り27件発生し15人死亡

 岐阜県有数の川遊びスポット、美濃市の長良川・美濃橋。最高気温30.2度となったこの日も、子供たちが川で水遊びを楽しんでいました。しかし、自然相手の川遊びには危険も。

 美濃市美濃市内では今年6月、小学生の兄弟2人が川に流され、その後救助されましたが、助けようとした45歳の父親が死亡しました。

 また8月11日には、関市の津保川で小学4年生の男の子が川に流される事故も。

 男の子は幸い無事に救助されましたが、岐阜県内では今年に入り、8月13日までに川での水難事故が27件発生し、15人が死亡しました。去年の同じ時期と比べ、およそ2倍となっています。

川遊びに来た母親:
「やっぱりニュース見ると(水難事故は)怖いので。この辺で足が着くところだけで遊んでって言ってるんですけど」

川遊びに来た父親:
「なるべく子供から目を離さないように」


 特に小さな子どもを持つ親にとっては、楽しく遊ばせたい反面、不安もある川遊び。どうすれば川遊びの危険を回避できるのか、専門家に注意点を聞きました。

■「深さ」に注意!水位は子供の足の付け根まで

 話を伺ったのは、岐阜県内で川の見守りや救助活動をしている「NPO法人・川に学ぶ体験活動協議会」の北川健司さんです。北川さんが指摘したポイントは3つです。

北川さん:
「子どもは、(水位が)足の付け根ぐらいまでは流されにくいんですけど、おへその辺にくると水圧が強いので、一気に流されやすくなります」

子どもが川の流れに耐えられる水の深さの目安は、足の付け根。

 小学生1-2年生、身長120センチくらいの子供の場合、大人の膝の高さが目安になるということです。

 また、川はプールや海と異なり、底に大きな石や岩が転がっているため、急に深くなっている場所もあります。

事前に大人が「子どもが遊ぶ場所」を確認しておくことが重要です。

■ 「渦」に近づかない…石にぶつかり強くなった流れに要注意

 次に北川さんが指摘したのは、川面からもわかる小さな渦です。

北川さん:
「渦を巻きながら流れがきているので、非常に危ないところです」

水の流れが石に遮られて向きを変え、その横の流れに合流することで発生する渦で、1度石にぶつかることで水圧が高まり、流れも強くなっています。

一見小さく見えるこの直径40センチほどの渦でも、小さな子供なら簡単に引っ張り込んでしまう力があるといいます。

こうした水流の渦は、水中の大きな石や岩のすぐ近くや、流れがぶつかる川岸などにもできやすいため、注意が必要です。

■「急な雨に警戒」を…降ったらすぐに川から避難を!

 特に夏のこの時期に多い、夕立ちなどの急な雨。短時間に大雨が降ると、予想以上のスピードで水嵩が増し川の流れも速くなるため、水難事故のリスクが一気に高まります。

北川さん:
「皆さんスマホとか持ってみえれば、雲の動きを見て雲が来るなと分かったら、早めにあがった方がいいですね」

 川の深さ、渦、そして急な雨。この3つに注意するだけでも、リスクは大幅に減らせるといいます。

 一方で、川での救助活動はプロでも難しいため、飛び込んで助けに行くことは危険だと指摘します。

北川さん:
「流れがあると、(水深が)腰以上あったら大人でも流される可能性がある。まずは浅瀬の方にと声掛けをしてあげる。それでも届かないような場合であったら、ペットボトルのような浮くものを投げてあげる」

 ペットボトルのほか、袋菓子をビニール袋に入れしっかりと口をしばったものでも、臨時の浮き輪として代用が可能。救助隊が到着するまでに、いかに浮いたままで時間を稼ぐかが生死をわけるといいます。

 そのため、北川さんはライフジャケットの着用こそが、最も重要だと訴えます。

北川さん:
「やっぱり川遊びされるときは、ライフジャケットが必須だと思います。ライフジャケットさえついていれば浮いていられるので、たとえ流されても救助しやすいですね」


 増加する水難事故。川岸に着いたらまず大人が「深さ」「渦」をしっかり確認をして安全かどうか確かめてから川遊びを楽しむことが必要です。