台風10号の影響で、週明けにかけて東海地方でも大雨になる恐れがあります。早めの避難が必要となりますが、新型コロナの感染リスクを避けながら避難するにはどうすればいいのか。専門家に聞きました。

「特別警報級」の勢力で日本列島に上陸する恐れのある台風10号。大雨が予想される地域では早めの避難が呼びかけられています。

 コロナ禍での避難、私たちは、どんなことに気を付けなければいけないのか。避難者支援に詳しい名古屋大学の荒木裕子特任准教授に聞きました。

名古屋大学・荒木裕子特任准教授:
「新型コロナウイルスの感染リスクがある中で、たくさんの方が、避難行動を躊躇することが起こり得ると思います。九州の豪雨災害でもそういったことが起きています。身に迫る危険性から躊躇せず避難行動をとっていただきたいと思います」

 熊本県を中心に、大きな被害をもたらした7月の九州豪雨。コロナ感染への不安から避難所に行くのをためらった人も多かったといいますが、3日の気象庁の会見でも「避難をためらわないで」と呼びかけられています。

 そして3密を避けるため、指定避難所の定員も減る中、今災害時に求められているのが「分散避難」です。

荒木特任准教授:
「たくさんの方が指定避難所に詰めかけると密になってしまって、そこで感染のリスクが上がってしまう。各自治体、指定避難所の定員を落としてはいるんですね。避難所まで行っても中に入れないということが起こり得ます」


こう指摘し、身近な親戚や知人宅、さらに指定避難所以外の公民館などの施設やホテルも選択肢だといいます。

 一方、車中泊については…。

荒木特任准教授:
「雨が降り始めてからの車の移動は危険になりますので、できるだけ早めにご準備いただければと思います。この時期ですと熱中症のリスクがあったり、エコノミークラス症候群のように肺血栓症を起こしたり、健康を害するリスクを持っているということを自覚されて対処を取られることが重要になってくると思います」


 車での避難は台風に巻き込まれないよう、雨風が強くなる前に行うこと。そして、まだ暑さが残るこの時期は熱中症にも十分に注意しましょう。

 一方、指定避難所など多くの人が集まる場所に避難する場合に、気を付けることは…。

荒木特任准教授:
「マスクをちゃんと着用する。手指消毒をする。協力し合いながら安全な避難場所をつくっていただければと思います」

 マスクの着用や手の消毒。さらに3密を作らず、タオルは共用しないなど日常生活でのコロナ対策を避難所でも徹底しましょう。

そして、もし避難が長期化する場合には、荒木特任准教授が重要と指摘するのが「口腔ケア」です。
体内に雑菌が入るのを防ぐため歯磨きなどの口腔ケアは、避難生活で重要性が指摘されているといいます。

 自主的な検温を心掛けることも重要です。

荒木特任准教授:
「自分が感染しているかもしれないという前提で『うつさない』ということを基本に行動していただくのが、ご自分の安全を守るためにも必要かなと思います」


 そして、ゴミ袋はしっかりと口を縛って密閉した状態にするなど「うつさない意識」を持つ必要があります。

 万が一体調に異変を感じた場合は必ず避難所の管理者に申し出ること。1人1人の心がけが避難所での感染拡大防止につながります。

 そのうえで荒木特任准教授は、「感染を恐れて避難しないことは避けて、まずは身の安全を確保して決断して避難してほしい」と話しています。