愛知県の大村知事のリコール運動を巡る「不正署名」の問題で、新たな疑惑です。多くのアルバイトが、愛知県民の名前や住所が書かれた名簿を、署名簿に書き写していたことが分かりました。

 名簿書き写しアルバイトに参加した男性がFNNの取材に応じ、大規模な署名偽造の実態を証言しました。

リコール署名「書き写し」のアルバイトの男性:
「もう、いきなり変ですよ。いきなり高須さんと河村市長の顔写真が横に付いていて、『愛知県のリコールします』みたいに書いてあって。そこに100人近くの人間が黙々と作業していて。行った瞬間おかしいなと思いましたね」


 16日、FNNの取材にこう証言したのは、福岡県久留米市に住む契約社員の男性。

 男性は大村知事のリコール運動を巡り、署名簿に愛知県民の名前や住所を書き写すアルバイトをしていたといいます。

 2019年のあいちトリエンナーレをきっかけに、高須クリニックの高須克弥院長が主導、河村市長も支援した大村知事のリコール運動。

 去年8月から2か月で43万5000余りの署名が集まったとして、高須院長側は署名簿を提出。

 しかしその後、県の選挙管理委員会の調査で、83%にあたる36万2000人分の署名が無効と判断されていました。

 大規模に何者かが署名を偽造した疑いもあり、県選管は15日、地方自治法違反などの疑いで刑事告発したほか、自分の名前が勝手に使われたとして、弥富市や碧南市の市議らが刑事告訴などをしていました。

 アルバイトで名簿を書き写したと証言する男性は…。

アルバイトの男性:
「大ホールみたいなのがあって、折り畳み式の机がダーっと並んでいてそこで黙々と。名簿の束がドサドサっと置いてあって、転記する用の名簿もあって、そこに名簿を見ながら書き写すようにと指示がありました。見た瞬間、もうこれはおかしいなと、後々絶対に問題になるだろうなという認識がありました」


 男性によると去年10月下旬、人材紹介会社からの案内で時給950円で書き写しの作業に参加。

 指示を受けて訪れた佐賀市内の貸会議室には100人近くが集められ、黙々と名簿を書き写す作業をしていたといいます。

アルバイトの男性:
「(1枚の署名簿に)書くところが確か10カ所くらいあるんですよね。なぜか指示が『7人までにしてくれ、8人までにしてくれ』と。10人埋まっていたら怪しいと思われるでしょうね、たぶん」

 大規模な署名の偽造…。何者かが署名の偽造を指示し、資金を出したのでしょうか…。

アルバイトの男性:
「まさかですよね、あってはならないことだと思います。こういうのをお金で買うというか、民意で選ばれた人をお金を使った不正操作で退職させるのは良くないことだと思います」


 リコール署名を巡り組織的な不正が疑われる事態に、大村知事は…。

大村愛知県知事:
「今回のこの活動を主導された首謀者である、河村氏、高須氏、田中氏(元県議)においては、真実を解明し開示し説明をしていく、そういう責務があると」

 大村知事に名指しで説明責任を果たすよう、求められた河村市長は…。

河村名古屋市長:
「(Q.市長や事務所の関わりは一切なかった?)はい、そりゃ本当にないよ、言っときますけど。別に(署名を)かさ増しする必要も全然ないし、そんなばかげたことをやって、犯罪ということぐらい知っていますから、私も」

 リコール活動を主導した高須院長も、不正への関与を否定。

 一体誰が署名の偽造を指示したのでしょうか…。愛知県警が告発などを受け、捜査を始めています。