愛知県西尾市に、新型コロナに感染した自身の体験記をブログやSNSを通じ実名で発信している人がいます。誹謗中傷も心配される実名での発信、背景にはある思いがありました。

<ブログの内容>
「味噌汁を飲んでもお湯、ジュースを飲んでも水を飲んでいる状態」
「10日間の自宅待機をしたという事実が終われば、『ああ、そうですか』と普通に外を出歩くのはやはり抵抗がありました」


 新型コロナに感染した当時の体験や心境を赤裸々に記したブログ。

 書いたのは、愛知県西尾市のライターなどをしている川内雅樹さん(25)です。

徒然コロナ日記の川内さん:
「ショックというより驚きの方が大きかったですね。まさか自分がなるなんて」


 今年1月、同居する弟に感染が判明。当初症状はなかったものの、濃厚接触者として両親とともにPCR検査を受けると全員に陽性が確認され、川内さんはその日から4日間、味覚と嗅覚に症状が出ました。

川内さん:
「極端に味が分わからない。おなかはすいてくるので何か入れなきゃいけない。空っぽの箱にモノを詰めてるみたいな感覚です。精神的にくるものがあって、味が分かった時の感動は大きかったですね」

 一方で、父親は味覚、母親と弟は咳や熱などと症状に違いがあったものの、県の発表では全員「軽症」。川内さんは一括りにされる発表に違和感を覚え、ツイッターとブログに症状や体験を実名で投稿することを決めました。

川内さん:
「県の発表でも、何月何日、何市で何歳代、軽症とか。その一文しか書いてなくて。軽症でもこういう症状があって、生活の中ではいろんな影響があるんだよということも伝えたかった。(ブログを見た上で)感染予防とか、もし自分がコロナになった時の対処とか、周りがなった時に自分がどういうことをしてあげられるかとか、そういったことを自分が経験したからこそ、ちゃんと伝えたいという使命感があった」

 ブログでは、自宅療養中に保健所が手配する弁当の写真のほか、周囲の応援が力になったことなども投稿。

 また「たかがマスク、されどマスク」と濃厚接触者の認定を左右する、マスクの着用の重要性も訴えました。

 それは同時に、感染者への差別や誹謗中傷に対する覚悟でもありました。

川内さん:
「誹謗中傷している人だってコロナになる可能性は十分にあり得るよと。だから誹謗中傷なんて絶対してほしくないと反論するくらいの気持ちを持っていた」


 投稿からおよそ1カ月半、これまでに誹謗中傷は受けていないといいます。感染したからこそ、伝えられること…。

<ブログの内容>
「今は我慢の時かもしれませんが、感染対策をぜひ習慣にしていただきたいです」