国は新型コロナワクチン接種のスピードアップを図り、新たに「職域接種」を始めることを発表しました。

 国はこれまでの個別接種、集団接種、大規模接種に加え、職場や大学などでの「職域接種」を始めると発表しました。時期は6月21日からとしていて、使用するワクチンはモデルナ社製になります。

 企業では、社員らのほか協力企業や取引先の従業員らも接種対象に含めることや、中小企業は商工会議所などを通じて共同で実施することもできます。そして従業員の家族や周辺住民にも接種できるとしています。

「職域接種」という呼び方ですが、大学では教職員らのほか学生も対象となります。ただ64歳以下の人には、まだ接種券が届いていないことがほとんどです。

 この職域接種では、接種券が無くても接種は可能で、届き次第、後からの登録で良いとされています。

 課題とされるのが、会場と接種する医療従事者の確保です。これについては、各企業や大学でそれぞれ確保することとされています。6月21日から始められるかどうかにも、この部分が大きく影響しそうです。

 東海3県の主な企業の対応は、JR東海、名鉄、東邦ガスは日程や会場などは未定ですが、いずれも「前向きに検討」と回答。中部電力は「決まったものはない」としています。

 約7万5000人の従業員がいるトヨタ自動車は、「実施する方向で検討している」としています。まだ日程や会場など、具体的なことは決まっていないということです。

 大学は、愛知では名古屋大学が検討中、豊橋技術科学大学も前向きに検討中としています。岐阜大学は未定。三重大学は今後検討、四日市大学は前向きに検討と答えています。

 三重の2つの大学は、いずれも県が主導する大規模接種の会場となっています。三重大学は8月1日まで高齢者への接種のスケジュールが組まれているため、終わってから検討するとしています。

 三重県の鈴木知事は2日の会見で、県をまたいで企業や大学に通う人が接種できるよう愛知県と協力していく考えを示しています。

 加藤官房長官は、「職域を通じて接種を受ける方が増えていくことで、市町村が実施する一般接種をより受けやすくなり、接種が加速化することが期待されている」と話しています。