出された判決に、遺族は何を思ったのか…。去年6月、愛知県安城市で中学生を大型トラックではねて死亡させた男の裁判で、29日判決が言い渡されました。

 遺影に手を合わせる加藤二郎さん(46)。

父親の加藤二郎さん:
「大翔おはようと。お前も一緒に来てくれるよなって」

 加藤大翔くん、当時中学1年生。

 新型コロナによる休校がようやく明けたばかりの去年6月、新しい自転車で学校へ向かう途中でした。

 石舘満也被告(48)が運転する大型トラックは、ガソリンスタンドへ入ろうと左折。

 歩道を自転車で走っていた大翔くんに気付かずにはねた後、そのまま20メートルほど引きずりました。

 大翔くんをひいて死亡させたとして、過失運転致死の罪に問われている石舘被告の裁判。29日に判決が言い渡されます。

父親の加藤二郎さん:
「大翔の命に代わるものはないので、大翔の命を返してくださいとしかやっぱり思えないんですよ」

 今年6月の一周忌を前に、母校に届けられた「生きた証」。厄除けのほか、大切な人を守るという意味を持つ鬼瓦、大翔くんが大好きだった「鬼滅の刃」の限定グッズを手掛けた鬼瓦工房が製作し、加藤さんの思いも込められています。

父親の加藤二郎さん:
「みんなの心の中に生きてもらって、1件でも事故が無くなってくれれば親として大翔のことを誇りに思うと。そしたら『大翔でかした』ってほめてやれる」


 しかし、悲しい事故は後を絶ちません。28日に千葉県で、下校中だった児童の列にトラックが突っ込み、5人が巻き込まれた事故。トラックの運転手の呼気からは、基準値を上回るアルコールが検出されています。

父親の加藤二郎さん:
「自分が被害者になった場合、同じ運転できますかっていう。自分は大丈夫と思っているのかもしれないですね」


 名古屋地裁岡崎支部で開かれた29日の裁判。大翔くんをひいて死亡させたとして、過失運転致死に問われた男への判決は…。

<裁判長>
「主文、被告人を禁錮3年に処する。5年間その刑の執行を猶予する」

 鈴木真耶裁判官は判決理由について、「通学時間帯であることを認識しており、より慎重な運転が必要だったのに基本的な注意義務を怠った」と指摘しましたが、その上で「被告人が二度と自動車を運転しない旨を誓約し、酌むべき事情も認められる」などとしました。

 判決に泣き崩れた加藤さんは、「遺族としては到底納得はできません。あの子が生きた証、この事故でたくさんの方に広く知っていただいて、子供に恥ずかしく無いように、世の中変わらないと駄目じゃないですかね」と話しています。