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インタビュー

長内美那子さん(伊佐山時枝役)

2015年5月25日更新

――息子の晃司を演じている宅麻伸さんとは、この枠で共演経験があるそうですね。
 「もう30年ほど前でしょうか…。『しのぶ』(85年)という作品でご一緒して、前作でも親子役だったんです。宅麻さんと共演するのはそれ以来。今回、最初に会ったとき、お互い『うわ~、久しぶり』となりました。宅麻さんとは“初めまして”の間柄ではないし、ましてや前回も親子を演じましたから、何の違和感もなく時枝と晃司の関係性、距離を作れました」
――この枠の作品にレギュラーでの出演は久しぶりだとか。かつては主演された「暖流」(65年。東海テレビ昼ドラ2作目)を始め、たくさんの作品にご出演されたとうかがいました。まさに昼ドラの“礎”を作られた方のお一人ですね。
 「“礎”だなんて、そんな(笑)。今から40年前、50年前はお昼のいろんな作品に出演させてもらいました。かつては私が嫁の立場で、姑に何を言われても耐え忍ぶような役をよく演じましたよ。こうやって久しぶりにレギュラーを務めさせていただき、今度は姑になり、それも決して優しいだけの人物ではなくて。実はホームドラマでこんなキツい性格の役を演じるのは初めてなんです」

――時枝について、長内さんはどんな人物だと捉えていますか?
 「最初の段階では時枝がどんな人物か、簡単な設定しかありませんでした。中盤でお嫁さんとの問題が起きることになっている、ということが決まっていたぐらいで。いただいた台本を読んだら、息子離れができていなくて、趣味の書に没頭している人だったので、お嫁さんとどうこうというのはあまり感じさせないよう、淡々と演じました。最初から怖さや嫌味が出てしまったら、おもしろくないでしょ。晃司が若い頃、恋人だった美咲さんのお母さんと別れさせたのが時枝だった、というくだりが出てきたときはもうビックリ。それだけでなく、香織さんに『かつて自分がしたことを悔いているから、晃司のやりたいようにさせたい。あなたの味方は出来ない』と言ったところはそんなことを息子のお嫁さんに言うんだ、とさらに驚きました。私にも息子が二人いますが、お嫁さんにあんな強い態度なんて絶対できませんから。時枝の言動の一つひとつが私自身にはまったくと言っていいほどない部分だったので、演じるという意味ではとても楽しかったですね」
――そもそも時枝と晃司の親子に対しての長内さんの感想は?
 「子離れできていないだけでなく、晃司も親離れできていない部分がありますよね。なんだかんだ言って、晃司は時枝の敷いたレールの上を歩いてきたでしょ。多分、晃司は一人っ子だと思うんです。だから教育の面では、何が何でも息子を弁護士にする! と必死だったのでしょう。晃司は晃司で思うことはあっても結局は母親に従ってきて。晃司が弁護士事務所をたたむ展開になったとき、時枝に『もういいだろ。好きにさせてよ』と言ったんですよ。60歳になって親にやっと“反抗”したわけですよね。時枝にしてみれば大ショックですよ。そんな年になった息子からはむかうようなことを言われたわけですから」

――では、息子夫婦のことはどんな風に見ていると?
 「香織さんへの感謝の気持ちはあったと思います。『よく出来た嫁だ』と思いながらも、それを表さなかっただけで。何事もなければ、どこか距離がありつつ、表面上は問題なく暮らしていったんじゃないかしら。香織さんのウガンダに行くって話が出たところからは、ただただ許せなかったでしょうね。それは姑の立場としては当然のこと。香織さんに裏切られたという思いを抱え、さらに晃司が妻に対して優し過ぎるからイライラしていたと思います」
――息子たち夫婦が速水家、岩村家の面々と集まり楽しそうにしていても、時枝はそこに加わろうとしませんでした。なぜだと思いますか?
 「不思議ですよね。一緒に楽しめばいいのに(笑)。時枝には書という没頭できるものがあり、『自分は自分。息子たちは息子たち』という気持ちだったのではないでしょうか。子離れは出来ていないけれど、“線”は引けるんですよ。時枝はそんな強さを持っている人ですね」
――香織が家を出るという選択をした際、時枝の香織への発言も要因の一つだと思いますが。
 「時枝の行動はすべて、“息子のため”なんです。親ってそんなものですよ。今回のように息子が60歳であろうと子供は子供。私もその気持ちは分からなくもないですね。ただ時枝のような行動はまずしないと思いますけど(笑)」

――今後、香織と晃司がどうなったとしても、時枝と香織の関係は…。
 「穏やかではいられませんよね。私も一視聴者として、この嫁姑がどうなるのか非常に気になっています」
――作品について伺います。『プラチナエイジ』の60代の青春を描く、というコンセプトをどう思いますか?
 「“60代の青春”というのは、その世代を過ごした者からすればよく分かります。今の時代は、まさにそんな気分ですよね。台本を読んでも、伊佐山家は夫婦が新しい生き方を模索し、速水家は妻が病気の夫を何とか支えようとする。さらに岩村家は離婚すると言いつつ、新しい家族を作っていく姿が微笑ましくて。どの家庭にも、そうそう分かる、という部分があり、とても良く出来た作品だと感じました」
――では“プラチナエイジ”以降、人生を輝かせるのに必要なことは何だと思いますか?
 「シンプルですけど、健康であること。とにかく健康でなければ何も出来ませんから。と言いつつ、私がしているのは、三食しっかり取るよう心掛けていることぐらいですけど。それと、あまり深刻に物事を考えないようにすることかしら。そういう面も時枝とは全然違いますね。私はかなりの楽天家だから(笑)」

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