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インタビュー

春田純一さん(速水純一役)

2015年4月24日更新

――本作の取材会で、「自分が60歳になったタイミングでこの作品の出ることになり、縁を感じている」とおっしゃっていましたね。
「本当にそうなんですよ。役名も純一でしょ。こういうことってあるんだよね。“60歳の青春ドラマ”っていうコンセプトも、実際に自分がその世代になるとよく分かる。言葉の意味や思いがすごく伝わってきてますよ」
――実際に今回演じている役と同じ年齢になり、感じていることはありますか?
「不思議なんだよね。年齢だけ考えると世間からすれば“かなり上”だと思うんですよ。かつては自分もそう見ていたから。一方で生活や意識というものは40代、50代の頃と比べても何も変わっていなくて。でも、映画がシニア料金で安くなったりするでしょ。そういうことで自分の年齢っていうものを感じるようになるんだろうね。この作品の中でも、そんなシーンが登場しているでしょ」

――今の60代の皆さんは春田さんのように、40代の頃と同じライフルタイルを保っている方も多いと思います。
「還暦とか赤いちゃんちゃんことか言われても、『何それ?』って感じだから(笑)。多分、脳年齢もずいぶん前に止まっている気がする。俺の場合は俳優という職業も大いに関係していると思う。年齢を問われることなく続けられる仕事なので。もし会社に勤めるサラリーマンだったら定年を迎えたとき、一つの区切りを迎えたと思いガクッと来てしまう人もいるかもしれないけれど」
――ドラマについてお聞かせください。純一を演じての感想は?
「すごく自分と重なっていますよ。『あー、これ俺だ』ってよく思う。明日のことは考えず、今日一日楽しく幸せに過ごせればいい、みたいなところは特にね(笑)」
――ドラマの冒頭では智恵子との暮らしを楽しんでいた純一ですが、病が発覚してしまいました。
「怖いよね。最初の頃は自分でも気づいていなくて、『あ、何だかおかしいな、物忘れかな?』という段階だったところから辛い現実を突き付けられたらどうなるんだろう?って演じていても思いますよ。何にしても周りが大変だよね。だって本人は忘れているわけだから。『病気は怖い』っていうのが正直な感想だし、避けられるものなら避けたい」

――純一の注目ポイントは?
「ドラマの中に出てくる、速水家、伊佐山家、岩村家って個性がバラバラで、夫婦の形もまさに三者三様。その中で、いろんなものに縛られることなく、夫婦二人が暮らしていけるだけ稼げればいい、というポリシーでここまでやって来た速水家が夫の病をきっかけにどう変わっていくのか。ある意味リアルな話だし、視聴者の皆さんには見守っていただければ。楽しかった生活がどんどん切ないものになってしまう。それもどこか現実的な話だよね」
――ところで春田さんは、本作のどんなところに魅力を感じていますか?
「まず湘南という場所がいい。ロケで行くと、自由な空気を感じるんですよ。60歳になっても何かを始めてもいいんだってことを感じさせてくれる。この作品を見ていると、60代になったからといって無理に落ち着く必要はないし、新たなことに挑戦する元気をもらえると思います。それと、3組の夫婦が気軽に集まる感じがいいよね。誰かの家でパーティーをして、何かあれば相談して支え合って。実際には隣人とまともに話をしたことがないって人だって多いと思うんですよ。近所づきあいの大切さも感じてもらえるんじゃないかな。役とはいえ、同年代のメンバーとわいわいしているのは本当に楽しいね」
――先ほど、“60代の青春”というテーマに実感している、とのことだったので伺います。春田さんにとっての“青春”とは?
「しがらみとか生活とか、いろんなものが自分を取り巻いているけれど、それで諦めるのでなく、大小問わずやりたいことをやってみる。それで満足感や幸せを得ることが青春じゃないかな。好きなことを自由に楽しむ。それはなかなか出来ないことだけれど、60代は思い切って挑戦するのにいい年齢だと思いますよ」

――では、同世代の皆さんに春田さんから伝えたいことはありますか?
「前向きにいてほしいかな。さっきも言ったようにやりたいことをやっちゃう。例えば恋とか(笑)。結婚していたら他の人と付き合うのはまずいけれど、遠くから『いいなっ』て思う人のことを見つめるぐらいならいいでしょ。何か新しいことを始めたときの昂揚感やときめきは、若いときに感じたものとは違うだろうけれど、でもやっぱり人を元気にしてくれると思う。60歳になっても“青春”って自分の中にあるものだし、『今の60代はパワーがみなぎっているよ、“老人”じゃないよ』でいいと思う」
――改めて、本作は60代の夢と冒険の物語です。春田さんが新たにチャレンジしてみたいことは?
「若い頃、スタントマンとしてアクションに関してはいろんなことやったんですよ。あと挑戦してないのは…。スカイダイビングかな? でも、まあ健康だったらそれでいいかな。何と言っても60歳ですから(笑)」

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