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インタビュー

谷田歩さん(森山亮平役)

2015年4月28日更新

――芸能界の大先輩である、榊原郁恵さんの相手役を演じていかがですか?
「あまりに有名過ぎる方なので、最初は緊張していました。でも郁恵さんはいつも朗らかで、周りにいる人のことを気遣う方です。俺もリラックスして演技が出来て、感謝しています」
――谷田さんは森山をどういう人物と捉えていますか?
「自分の思ったことや信じていることを堂々と言い、行動する男ですよね。でも決して感情で突っ走るタイプではない。太平洋のように広い心の持ち主だと思います。“やかましくない坂本竜馬”とでもいうのかな(笑)。顔を見れば考えていることが分かる、というタイプではないけれど、頭の中ではいろんなことを真面目に考え、それを自分なりの言葉で伝えようとしているのだと思います。出会ってすぐ香織さんに『あなたはこんな小さな世界で終わる人じゃない』と言いましたが、言葉に自分なりの哲学というものを感じましたし、それを直球でぶつけましたよね。ただ、香織さんからすればいきなりの発言。インパクトがあって、結局香織さんと晃司さんの仲に影を差してしまったわけですが」

――森山の出現が、香織を大きく変えるきっかけになったわけですが、香織と晃司の仲を壊してしまった、という罪悪感はあるのでしょうか?
「結局、香織さんは家を出てしまいましたが、壊そうとはしていないと思います。森山の頭の中にあったのは“この人を救いたい”じゃないかな…。森山の『今の生活を維持するのでなく、外に目を向けたほうがいいと思います』という言葉に香織さんが共感してくれただけのことで。森山が晃司さんと対峙する場面でも例えば森山が土下座して、『奥さんをください!』だったら森山は自分のしていることに罪悪感があるかもしれません。そうじゃなく、『自由にしてあげてください』とお願いに行ったんですよ。それって、そうすることが香織さんにとってベストで正しいこと、という信念があったからこその行動だと思いませんか?」
――森山はいつ香織に惹かれたと思いますか?
「最初は一目ぼれだと思っていました。でも台本を読み進めていくうち、そうじゃない気がしています。出会った当初は言葉もきついし、最初から何か心にひっかかるものはあったのかもしれないけれど、香織さんが自分の事務所に来て、いろいろ世話を焼いてくれたことで香織さんのいろんな面に触れ、恋愛感情を抱いたんだと思います」
――晃司を始め、香織の家族からすれば森山はひどい男だと思います。でも決して、悪人ではないですよね。
「そもそも自分もかつて結婚を失敗していて、夫婦の仲がダメになることに対して、森山は独特の考えがあるような気がします。それにしても、実際こんな奴がいたら、とんでもないですよ。建築家ですから、自由にクライアントの家に出入りできるわけで、晃司さんからすればいつの間にか女房と気持ちが通じているわけでしょ。自分の妻にそんなことが起きたら、最悪ですよ(笑)」

――なおかつ、香織と森山の関係はプラトニックですよね。
「森山が香織さんを抱きしめる場面で、二人はキスすることもありませんでした。郁恵さんが、『ここでもし二人がキスしたら、二人の関係はただの不倫になってしまう』とおっしゃっていたんです。俺としては、二人の間柄はやっぱり“不倫”になるんだろうな、と思っていたんです。でも、郁恵さんは二人の結びつきは“同志”的な面のほうが強いと捉えているのかもしれない。そういう見方もあるのだと、気づかされました。今回はそんな風に現場で気づくこと、発見が多くて」
――演じていく中でいろいろ思うことがあるのでしょうか?
「それはどの役でもそうですが、今回は撮影に入るまであまり時間がなかったんです。だから“役作り”っていうのも、正直自分の納得できるレベルじゃないです。そんな不安もありながらクランクインを迎え、『どうしようか』と思いつつ、一方で『自分が話す雰囲気が森山なんだ』と信じる気持ちで演じ始めたんです。森山としての“居方”っていうのは常々考えているし、第4週、第5週の撮影に入ってやっと、森山の人物像が全体的に見えてきた部分もありますね」

――谷田さんは舞台で活躍されているので、どんな状況にも動じることなく現場に入る方なのかな、と思っていました。 
「見た目がいかついから、そう見えますか(笑)。全然、そんなタイプじゃないです。役のことを考えて、考えて、深く掘り下げてから撮影に入りたいし、セリフもどんなハプニングが起きようとも、自然に出てくるくらいまで頭に入れてから演じたいんですよ、俺は」
――ドラマで森山のような柔和な人物を演じるのもあまりないことだとか。
「舞台ではありますよ。でも映像では悪役が多いですね(笑)。今回はどうすれば森山の優しさ、誠実さを表現できるのかが課題だと思っています。眼つきも鋭いし、眉毛も太いからちょっと目の周りを動かすだけで、ものすごく深刻に考えている風になってしまうことがあって。当初、監督さんから『今の表情はちょっとサスペンスが入り過ぎていたので、もう少し柔らかく』と指示されることもありましたし (笑)、映像では自分の満足のいく表情はまだまだ作れていないですね。この現場では諸先輩の演技も見させてもらっていますが、宅麻伸さんも目にとても力のある方だと思うんです。でも演じていらっしゃるときは、晃司さんとしての喜怒哀楽を見事に表現されています。ものすごく勉強になりました」

――この枠の作品にご出演するのも「夏の秘密」(09年)以来だそうですね。
「昼ドラは、その日組まれたセットでの場面を話数に関係なく撮っていくのでワンシーン、ワンシーン、その前後がどんな場面で、自分の役がどんな心境だったのかしっかり考えなくちゃいけないんです。そのためには共演者の皆さんとも密にコミュニケーションを取る必要があります。皆さんと“戦友”になれる感じがうれしい、この現場ではそれがベテランの方ばかり。初めてのことが多い作品なので、すごくありがたいです。初挑戦と言えば、香織さんを抱きしめるような、映像で“ラブシーン”を撮影するのも初めてだったんです。撮り終えた後、安堵して思わず郁恵さんと握手しちゃいました(笑)」

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