ツイッターやLINEなどのSNS。大阪で起きた連れ去り事件もそうでしたが、子供たちが大人の知らないところで見知らぬ人物と連絡を取り、犯罪に巻き込まれるケースも増えています。

 そんな中、大人の間ではほとんど知られていないあるSNSが、子供を狙った犯罪で頻繁に利用されています。そのSNSの名前は「ひま部」。いったいどんなSNSなのか取材しました。

<メッセージの内容>
「こんにちは 別の女の子の話相手になってほしい うちに来ない? せつじろう」

連れ去られた大阪市の小学6年の女の子に偽名で送られてきたメッセージ。逮捕された男はツイッターの利用者同士が非公開でやり取りができる「ダイレクトメッセージ」を使って誘い出していました。

 SNSを通じて起きた連れ去り被害。名古屋の街で親子に聞くと…。

大学生・高校生の父親:
「子供がよくやっているので怖いなあと思います」

 SNSの利用について聞いてみると…?

女子高生:
「インスタとかツイッターとか」

女子大生:
「小学校6年生から(やっている)」

男子大学生:
「中1から(やっている)」

 多くの子供たちがツイッターやLINEなどを小学生・中学生から使っていると話していました。そんな中、今親世代には知られていないあるSNSが問題に…。

Q.「ひま部」というアプリご存じですか?

父親:「えっ?知らないです」

母親:「聞いたことないです」

「ひま部」という学生限定のSNS。

 中学生から大学生までの生徒や学生だけが登録可能で、世代の近い若者同士が気軽にメッセージのやり取りや電話をすることができるため、人気を集めていて、1日に600万以上の投稿があります。

 実際どのようなメッセージが投稿されているのか見てみると、出会いを求めるメッセージが多く並んでいました。

さらに画面に現れる電話やチャットのアイコンをタップすると、直接相手と話したりメッセージのやり取りをしたりすることができます。

Q.「ひま部」のイメージは?

男子大学生:
「暇な人がやるみたいな感じです」

女子高生:「出会い系」

別の女子高生:
「ひま部やったことあります。ひまになってる同士でトークして、時間つぶしてみたいな」

 実際に「ひま部」を悪用した事件が愛知県警に摘発されました。

 小学6年の女子児童にみだらな行為をした疑いで逮捕されたのは、静岡県の山下凌汰容疑者。

 2人が知り合ったのは学生限定の「ひま部」でしたが、山下容疑者は26歳の会社員。年齢や身分を偽って利用していたとみられます。

 学生限定を謳ってはいますが、登録の段階では年齢の証明は求められません。また個別のやりとりの際も身分証などで年齢の提示を求められますが、名前や顔写真を公開する必要はなく、容易に身分を偽ることは可能です。

 SNSが原因となった、子供に対する犯罪を警察庁が分析した結果、一番多かったのはツイッターの40%、次に多かったのが「ひま部」で全体の12%を占めました。

安心安全インターネット塾 勝野代表:
「出会い禁止とはうたってはいるんですけど、実際にはそこで出会って被害に遭ってる子供たちがいるわけだから、実態は違うなという感じはします」

 多くの危険が潜むSNS。あらかじめ親子でルールを決めておくことが大事と言われますが、一筋縄ではいかない実情が…。

 生まれた時からインターネットやスマホに囲まれ育ってきた子供たちは、すぐに親世代のスキルを超えてしまうのです。

 まずは大人がちゃんとSNSのことを理解することが大切で、親がよくわからないものを子供に使わせるのはダメと言えそうです。

安心・安全インターネット塾の代表、勝野祐子さんは、SNSの使用にあたっては、「子供とルールを決めることが大切」と話します。1つ目の注意点は「知らない人とやり取りしない」。「DM」は特に危険です。

2つめは、「投稿する写真を限定すること」。名前や顔、学校や最寄り駅がわかるものはやめましょう。3つめは、「定期的にチェック」です。週1回は、投稿内容について、親子で会話することが大切だということです。