名古屋の鶴舞公園のすぐ近くに、自家製カレーが人気の喫茶店があります。3日間かけて作られるその手作りカレーは、ビーフとキノコの2種類の味が一度に味わえると評判です。

 開店から60年。2代目のマスターは先代から受け継いだこの「2度がけカレー」の味を守り続けています。

■先代が30年程前から始める…ビーフとキノコの名物『2度がけカレー』

 名古屋市中区。鶴舞公園のJR鶴舞駅の真下に喫茶店「八雲」はあります。2代目のマスター落合直人さんは、喫茶店の2階に住んでいます。

 八雲の始まりは今から60年近く前。コーヒー好きの先代、落合さんの父・廣一さんと母・治子さんが開きました。当時、鉄道の高架下は家賃が安かったため、喫茶店兼自宅としてこの場所を選びました。

 八雲の名物は、先代が30年ほど前から始めたビーフとキノコの2種類の味が楽しめる手作りカレーです。ルーは香草を煮だして、そこにすりおろした玉ねぎやニンジン、しょうが、リンゴなどを入れ、3日間かけて作られます。

2代目の落合さん:
「レシピは全部父が考えました。いろんな有名なホテルに行って(研究した)。当時、カレーバイキングが流行り始めた時代で…」

「手作りカレーランチ」は、サラダやドリンク付きで1000円。

 まずはチキンコンソメでマイルドに仕上がったキノコのカレーを。続いて、ブラックペッパーが効いたスパイシーなビーフカレーをかけて頂きます。1度で2種類のカレーを楽しめると好評です。

男性客:
「ビーフの方がおいしいですね」

女性客:
「私は、キノコの方が好きです」

 昼時はこの「2度がけカレー」を求めて多くの人がやってきます。

■父親と母親が相次ぎ他界…コロナ禍とも相まって厳しい1年に

 そんな人気店を営む落合さんですが、2020年は辛く苦しい一年を過ごしました。2月に母・治子さんが亡くなると、5月には父・廣一さんも後を追うように他界。コロナ禍もあり、本当に厳しい1年だったといいます。

落合さん:
「店があったおかげでなんとか踏ん張れたというか。残してくれたものをなんとかしなきゃというのが先で…」


 春は桜も楽しむことができる公園のそばにある、カレーの名店。落合さんはこれからも両親の人気の味をつないでいきます。