新型コロナの影響で外出を控えないといけないものの、買い物もしないと…という方、多いのではないでしょうか。

 そんな中、注目されている通販サイトが『ポケットマルシェ』。登録者が倍増中だというサイトを取材してみると、ただ食材を手に入れるという目的だけでなく、生産者と消費者がお互いに支え合おうとする姿がありました。

 新型コロナウイルスの影響から「巣ごもり需要」が伸びる中、ある通販サイトが注目を集めています。

『ポケットマルシェ』。ホームページや専用のアプリから、全国の農家や漁師と直接やりとりをして食品を購入できます。

「マルシェ」と付くだけに、扱う商品は市場に並ぶようなものばかり。三重県南伊勢町で養殖された真鯛は、2キロ程度の特大ものが1匹で3218円。養殖所からの直送なので鮮度は抜群。味が濃いのが特徴です。

 また、佐賀県産の旬のアスパラガスは、1キロで2700円。朝採れをその日のうちに発送するため、瑞々しさが違います。

 決して、激安というワケではありませんが、品質のよさと鮮度のよさは折り紙付き。また、生産者と直接やりとりができるのも魅力です。

 その通販の登録者数が、新型コロナウイルスの影響から3月末で2.6倍に増えたといいます。運営者に話を聞くと…。

ポケットマルシェの運営者:
「給食が止まってしまって、出す予定だったホウレンソウが行き場をなくしたとか、コロナの影響で困っている人たちが一覧で見られるようにして、(サイトに)きたお客さんがそういう人たちを応援したいというお客さんもいるので、マッチングしやすくしました」


 2月末ごろから「給食がなくなった」「飲食店から注文が入らなくなった」と訴えて、商品を出品する生産者が目立ち始めました。そこで「新型コロナで困っています」とタグをつけたところ、そうした生産者を応援しようとする消費者から注目が集まったのだと言います。

 例えば、前述の南伊勢町の真鯛のコメント欄にも、「新型コロナウイルスの影響で行き場をなくした」とあります。

 ほかにも、佐賀でパクチーを栽培する農家も「飲食店の取引先が多く、コロナで注文数が激減し困ってます」の文字が。60人ほどの生産者が、こうして行き場を失った食材を出品しているそうです。

 応援する消費者からも「良いことをしながら美味しい食材も味わえた」という声が多く、この流れを受けて今度は「新型コロナを吹き飛ばせ」と名付け、生産者が外出できない消費者を応援する企画も始まりました。

 企画に賛同する生産者は、東海地方にもいます。愛知県田原市の「ウエタトマト」。苗を鉢に1つずつ入れて育てる、樽栽培という方法で水分量を調節し、甘み・うま味の強いトマトを作っています。

 その甘いトマトを乾燥させたドライトマトを、企画の商品として出しました。なぜ、ドライトマトなのかと言うと…。

ウエタトマト生産者 植田さん:
「トマトはリコピンやビタミンC、ギャバなど免疫力アップにとてもいい栄養素がたくさん入っています。リコピンは生のトマトの約15倍濃縮されたドライトマトになっています」


 新型コロナウイルスに負けないよう免疫力を付けてほしいと、栄養素リコピンが濃縮されたドライトマトを出品したそうです。なお、消費者応援企画だけに、生産者は商品に何かしらのサービスを付けます。

「ウエタトマト」は、このドライトマトを15%オフ。一袋826円で販売します。

 また、同じ田原市内の「おがわ農園」も、企画に参加。昔ながらの土耕栽培で育てたミニトマトです。

おがわ農園生産者 小川さん:
「本来植物は土を使って育つものだと思います。ウチのミニトマトを食べてくれた方は『味が濃い』『トマトらしい味』と言ってくださって、トマトが苦手な子どもでも食べてくれるというお母さんからの声もあったりします」


 その味の濃いトマトを、消費者応援企画では「10%増量」。例えば、1.5キロ注文すると、その10%の150グラムが追加されて発送されるという仕組み。注文する量が多いほど追加分も増えて、一層お値打ちになります。

おがわ農園生産者 小川さん:
「コロナで暗いニュースばかりで、皆さんあまり外出してなかったりすると思いますけど、僕が作ったおいしいミニトマトを食べてもらって、少しでも笑顔になってもらいたい。10%増量した分を今までより贅沢に料理に使ってもらえたらなと思って、少しでも皆さんに喜んでもらえたらなと思っています」